2008/12/30

できればDISらずに暮らしたい(2008年をふりかえって)

2008年は検索/SEM にもブラウザまわりにもいろいろと動きのあった年だったが、当サイト(SEM酒場)で今年よく読まれた記事を以下に紹介したい。アクセス解析を見るとトップページがページビュー全体の21.6%を占めるのだが、トップをのぞいて今年もっともアクセスの多かったエントリーから順に紹介する。
  1. SEO 屋の半分はクズだ。(13.3%)
    何やら物議をかもしたようだが、比率はともかくとして、クズがこれまで以上に目につくようになったことは事実かと。ちなみにタイトルは「広告費の半分は無駄だ。問題はどの半分が無駄なのかわからないことだ」のもじり。
  2. 全日本SEO 協会?(7.3%)
    これもひどかった。秋に何やらイベントごっこをやった後、動きが絶えているようだが、このままフェイドアウトすることをおすすめする。当時フォローできなかったが、同協会にアドバイスを寄せた人がいるようだ。優しいなあ。
  3. ドリコムad4U は「行動スキミング広告」(3.8%)
    現在進行形だが、行動ターゲティングという手法、ひいてはインターネット広告全体への信頼性を損ないかねないという意味で依然として深刻。問題を提起した高木氏のサイトを中心に検証が続けられている。本エントリーもこちらで言及いただいた
  4. さよならEC ジャパン(3.4%)
    2007年のエントリーだが、今年も地味にアクセスを積み上げている。Yahoo! JAPAN、Google ともに「ECジャパン」で検索してファーストビューに入っているが、それにしても同社が現在まで継続して検索されつづけるほどのブランドを築いたことに驚かされる。
  5. 外部リンク系SEO スパムの話(3.3%)
    このあと、「インデックス削除をくらったスパム業者のリスト」(2.6%)、「Blogger はSEO ツールらしい」(2.2%)、「CSSによる隠しテキスト、間抜けな注釈つき。」(2.2%)とSEO/スパム関連のエントリーがつづく。みんな好きだねえ。

こうやってふりかえると始終DIS ってばかりいるようだが、筆者本人は至って温厚な性格である。自分でいうから間違いない(by 三木道三)。今年アップした29本のエントリーのうち、まじめなもので気に入っているのは例えば「インターネットユーザーの時間を値付けする 」だったり、「ブラウザによるURL の補完 」、「検索とエコと広告 」(←特に後半部分)などだ。

もともとSEM酒場は、業務には直結しない検索エンジンやブラウザに関する小ネタを載せる場として始めたもの(エントリーでいうと「Yahoo! or Ya-Hoo? 」や「baidu.co.jp - 百度(Baidu )とは無関係 」など)。来年は本来の趣旨に戻ってエントリーをあげることができるような、穏やかでまともな年になるといいな、と願う。ではよいお年を!

2008/12/27

今年のベスト(?)キャンペーン(??)

「今日のニッパウ」の小越氏からビーンボール気味のクリスマスプレゼントが。おおもとはここのようだ。
「2008年、ブロガーが選ぶウェブキャンペーンベスト5」と称して、ブログ界的には懐かしい「バトン」形式で、色々なブロガーに今年一番印象に残ったウェブキャンペーンを選んで頂き、うまく2008年の広告業界を振り返って頂きたいと思います。
筆者の更新頻度で果たして「ブロガー」といってよいのか、とも思うし、ウェブキャンペーンに限定されてしまうと「ない」という結論になってしまう。

しかし小越氏の1位が「オバマ大統領のインターネットキャンペーン」であるように、各種キャンペーンの中でインターネットのからませ方がうまかったもの、と考えると……やっぱりないな。オバマは同意だけど先に言われちゃってるし。

まあ期待されてるのは「広告系」(だっけ?)の人たちが取り上げないような角度のものだろうから、せっかくなのでひとつだけ。

パナソニック(旧「松下電器産業」)の企業ホームページ
http://panasonic.co.jp/


既に有名だと思うが、4回目の冬を迎えてもまだ継続している、というところをあらためて評価したい。2005年にFF式石油温風機の欠陥問題が明らかになった際に、同社がCM をすべて当該温風機の回収告知CM に差し替えたり、はがきを全戸に送付したりと徹底した呼びかけを行い、結果として企業への信頼性を高めたのは覚えている方も多いことだろう。

ではこの時、Web サイトにおいても「松下電器からのお願いです」のページ以外は表示できないように対応していたことはご存知だろうか。その後、リダイレクト処理は外したものの、トップページ(http://panasonic.co.jp/)はほぼこの回収の呼びかけのみという状態が現在まで続いている。

panasonic.jp という商品情報サイトが別に存在するとはいえ、企業ホームページのトップを何年もこの状態にしつづける、というのはなかなかできることではない。特に2008年は松下からパナソニックへの社名変更とブランド統一もあった訳で、そのタイミングでこの告知の扱いを下げていても不思議はなかっただろう。

筆者も参加しているWeb 広告研究会の企業広報ワーキンググループでは、こういった企業ホームページの危機管理に関する研究を継続して行ってきており、この12月にはまとめのセミナーを会員向けに実施し、盛況であった。派手なキャンペーンもよいのだが、安全や企業の誠実さに対する視線が厳しくなっている現在、何かことが起きた時の対応のあり方を考えておくことは重要ではないだろうか。


検索まわりでは

検索やブラウザまわりもいろいろ動きがあったこの1年だが、中でもGoogle Japan がお金をかけて本格的にマーケティング活動を展開しだしたなあ、という印象を受けた。「Google で、できること。」なんかのことだが。日本独自のトップページにしたこととあわせ、これ以上にのばすためにはどうすればよいのか、という問題意識から具体的なアクションが出てきた一年だったということか。

ただやはり、もっとも世の耳目をひいたのはストリートビュー騒動だろうし、これによってGoogle の企業姿勢が広く伝わったことこそが今年のトピックなのだろう。よくも悪くも、特に同社の広告審査に対するスタンスを理解している人であればストビュー問題にも通底するものを感じただろうし、特に驚きもなかったはず。しかし単に検索やその他の優れたサービスを利用してすごいすごいと言ってるだけの人の中には、ここで初めて危機感を持ったという人も多かったのかもしれない。

#筆者はこういった点も含めて、それでもGoogle はすごい、という評価が妥当だと考えている。

2008/11/24

What Jerry Yang could do...

各所で既報のとおり、米国時間の11月17日、米Yahoo! の創設者であるJerry Yang (ジェリー・ヤン)が、2007年6月に就任したCEO の職を辞す意向を明らかにした(プレスリリース)。適切な後任が見つかり次第CEO の座を離れ、取締役およびChief Yahoo! に戻る、とのこと。

下の写真はその4日前、11月13日にFlickr に投稿されたもの。共同創設者であるJerry Yang とDavid Filo のイラストに「YAH WE CAN」の文字。いうまでもないがBarack Obama 次期大統領のフレーズ「Yes We Can」とYAHOO! をかけたものだ。YAH 部分のフォントもおなじみだろう。


Uploaded by Yodel Anecdotal on 13 Nov 08, 5.37AM JST.


……残念ながらJerry Yang は何かをなし得ることはかなわず、CEO 辞任となった。個人的にも一抹の寂しさを感じるが、社内の状況はどうであれ、Yahoo! がいまだに世界のインターネットユーザーに支持されるブランドであることは事実。今後を見守りたい。

*関連するエントリー:

2008/10/26

ドリコムad4U は「行動スキミング広告」

#今さら感あるけど大事なので。

業界関係者の間で「大丈夫なのか」と心配されていたドリコムの「行動ターゲティング広告」ad4U。インターネットユーザーの行動履歴を、「ウェブブラウザの基本機能を活用して」(参照)自社が運用も広告配信もしていないサイトでの行動まで含めて照会できる、というふれこみであったのだが、直線的に考えればブラウザの行動履歴をぶっこ抜くくらいしか実現方法がないわけで。



この種の広告に少し詳しい人間の誰もが疑問に思いながらも「ad4Uは国内で特許を申請中のため,技術の具体的な内容は開示していない」(参照記事)とのことで詳細が開示されないままサービスが開始されていたわけだが、まあ案の定というか……このad4U の正体が高木浩光氏のNIKKEI NET への寄稿によって明らかになった。
楽天ad4Uの実際の広告を調べてみたところ、Flashオブジェクトの中に数千個の隠しリンクが埋め込まれており、JavaScriptによってそのリンクの訪問の有無を調べ、どんなカテゴリーのサイトに多く訪問しているかを集計し、そのカテゴリーの広告を表示するようになっていた。
高木氏はおそらく優しい方とみえて、「バグの存在を前提にした事業のリスク」などを心配してあげているようだが、この件のポイントはもっとシンプルなはず。まずは「特定の企業から配信される広告は、表示の前に、他者には知られていないはずの自分の行動履歴を数千ものURL と突き合わせて読み取る」と知ったインターネットユーザーがどのように感じるか、だろう。

ブラウザが訪問済みリンクの表示色を変えるのは、ユーザーの利便性を高める(既に訪問済みのページを再度開かなくて済む、あるいは以前訪問したページに効率よくアクセスする)ためであって、ドリコムに訪問履歴を渡すためではない。ad4U、嫌悪感を抱かれない広告、の真逆を行くものといえるだろう。

奇しくも高木氏の寄稿のタイトルが「行動ターゲティング広告はどこまで許されるのか」となっているように、行動ターゲティング広告には、杞憂にすぎないものも含めてプライバシー周りの懸念がどうしてもつきまとう。そこをいかに理解してもらうかについて関係各社が苦心しているところへ土足で踏み荒らしに来たような今回のドリコムの振る舞いは、まったくもって承服しがたい。

ドリコムにはぜひ「行動スキミング広告」という独自カテゴリーを立ててもらい、そこで圧倒的ナンバーワンになっていただきたい。行動ターゲティングを僭称するのはご勘弁を。

#あと、楽天とライブドアがいつまでad4U を採用しているのか、こちらも見ものかもしれない。特許申請中を理由に詳細が開示されなくても、ドリコムはともかく楽天やライブドアが採用しているのなら滅多なことはなかろう、と無理に自分を納得させていた人も多いだろうから(恥ずかしながら筆者もそうだ)。

2008/09/27

アドパートナーの審査を通過

Yahoo! JAPAN の広告配信プログラム「アドパートナー」の利用登録を行ったところ、本サイト(SEM酒場)がめでたくサイト審査を通過した。これで落とされたらそれはそれでネタとして面白いかも、などと思っていたのだが。

アドパートナー管理画面トップ

9月の3連休(13日〜15日)にアドパートナーの利用者登録とサイト登録を行い、「テスト配信完了のお知らせ」が届いたのは18日のこと。広告のテスト配信が完了してから行われるサイトの審査には「2週間程度かかりますのでご了承ください」と書かれていたのだが、翌19日には「審査結果のお知らせ」が到着した。

Yahoo!ウェブオーナーセンター アドパートナーをご利用いただきありがとうございます。

お客様のサイトを審査させていただいた結果、対象範囲が審査基準を満たしていましたので合格と判定いたしました。

サイトのURL:
http://sem-bar.blogspot.com/


4営業日で登録から審査まで完了しており、意外にスムーズ。

テスト配信のあいだ右メニューの一番下に表示していたアドパートナーの広告枠を、今回の審査通過を機に、中ほどに引き上げてみた。個別エントリーページの本文を読み終わるあたりで目に入る、という形を狙っている。本気で収益を狙いに行くのであれば同じメニューでも一番上とか、メインコンテンツ領域の上下に配置すべきだと思うが、現時点ではもろもろの確認という意味合いもあり、この形にした。今のところ社会貢献広告がほとんどのようで、クリックも発生していないが、今後、様子を見ながら手を入れてゆく予定。

アドパートナー雑感

冒頭の画像がアドパートナーの管理メニュー(いわゆる管理画面)トップ。Google AdSense の管理画面と比較すると、全体的に余白が広めにとられている印象がある。メニューとしては「配信レポート」「報酬レポート」「広告設定」「サイト管理」「登録情報管理」があり、いずれも特にわかりにくい点はない。ただ、ヘルプの内容が「わからないことを解決する」ためのものにとどまっていて、より多くの収益を上げるためのヒントまで踏み込めていないのは今後の改善課題か。

*このあたり、先行するAdSense のヘルプはさすがに充実している。例えば「Google 広告はページのどの位置に掲載すればよいでしょうか?」など。

また、「広告設定」で選択できる広告のフォーマットが3パターンしかないというのは(当初バナー広告の配信からスタートした都合上、クライアントに多くのクリエイティブを用意してもらうのが難しいという理由はあったにせよ)広告を掲載する側としてはありがたくない。今後、インタレストマッチの配信が本格化し、テキスト広告が中心になればパターンは増えてゆくものと予想される。

2008/09/15

いえ、SES Tokyo です。

Yahoo! JAPAN で「SES Tokyo」と検索すると、もっと万人受けしそうなものを「〜ではありませんか?」とオススメされる。分かるけど、違うYO!

「SES Tokyo」と検索

なお、SES Tokyo の開催日は当初、今年10月28日・29日とアナウンスされていたが、日本向けページの記述が「日程は近日発表」と変更され、本家SES のEvent Calendar からもTokyo が落ちている。事情は聞いているが、職務上知り得た内容になるためここには書かない。Web で確認できる内容から推察いただきたい。

#本件、MarkeZine Day 2008 の会場で何度も聞かれたので。

*関連するエントリー:

2008/09/04

検索とエコと広告

検索をめぐるあれこれを考えるのにちょうどよい事例が見つかったので、つらつらと書いてみよう。「欧州の視点」の「グリーン検索あれこれ」というエントリーから。
検索でエコ活動に貢献しようというドイツベースのNPO、Forestle.org のグリーン検索が、開始後まもなく行き詰っている。

Googleの検索サービスを利用して、ユーザーによるスポンサーリンクのクリックから得た収益を熱帯雨林維持活動にあてようというサービス。 Forestleで1回検索すると、0.1平方メートルの熱帯雨林を救うとあり、現在29273.2平方メートルを救ったとサイトに書かれているが、 Googleが「人工的にスポンサーリンクをクリックさせることを奨励している」として提携を解消したようだ。
これはGoogle の対応が正しい。検索1回あたりの広告収益を事前に確定させることはできないため、「1回検索すると、0.1平方メートルの熱帯雨林を救う」というようにうたうことは本来、望ましいこととはいえない(ざっくり見積もることはもちろんできるが)。

この数字を目標どおりに達成するためには、必要額が得られなかったときの広告以外の収益による補填の方法をあらかじめ定めるか、もしくは広告のクリックを(明示的であれ暗示的であれ)促すしかないわけで。この場合、同じようなモデルの「緑のgoo 」がとったように、「収益のうち決まった割合を寄付」といった形が無理のないやり方だといえる。

ちなみに現在、実際にForestle で検索してみると、以下のような凄まじいメッセージが表示される。ひどいねこりゃ。



Forestle が当面の代替としてすすめている「Znout」がまたなんというか……環境に配慮したサーバーを利用している、などはよいのだが、デザインテンプレートが同一で手抜き感がただようのに加え、「Our black background lets you save up to 30% energy while searching the web. (黒の背景色により、検索時のエネルギー消費を30%削減できます)」というのはいかがなものか。大元の検索エンジンがWeb をクロールしてインデックスし、検索のリクエストにこたえるまでの、すべてのプロセスにおいて消費されているエネルギーの総量から見たときに、それはどのくらいのモノなのか。狭いなあ。



#背景色を黒に、というのはBlackle のアイデアだったと記憶しているが、それも登場時にその有効性について激しい議論があったような。

ちなみにご本尊のGoogle では、Google.org の中で再生可能エネルギーの研究を進めている。レイヤーがいくつも下のところから解決策を探しにゆくGoogle の姿勢には驚かされることが多いが、これもそのひとつ。ものごとの進め方については強引なところが気になり、同意しかねることも多いが、このエネルギーに関する取り組みについては素直に賞賛してよいのではないか。

*その他、本件と直接関係しないが示唆に富む記事:
 Greenseng:グリーンな検索エンジンは、実際に省エネ効果がある (TechCrunch)


検索をめぐるエコシステム(生態系)

ついでなのでちょっとマジメな話。広告配信プラットフォームとしてのGoogle(や同業他社)の役割は「インターネットユーザーと広告主を適切に結びつけること」であり、関係者は以下のように整理できる。

インターネットユーザー
↑↓
広告掲載サイト
↑↓
Google(広告配信プラットフォーム)
↑↓
広告代理店
↑↓
広告主


広告代理店を通さず直接出稿することも可能であり、またGoogle において検索が発生した際には広告掲載サイト=Google となるが、ここでは分けてある。

ポイントは、いわゆる検索連動型広告をめぐってこれだけの利害関係者が存在し、広告配信プラットフォームを仲立ちにしてつながっている、という点にある。従って特定のプレイヤー、例えば広告主だけがメリットを享受するような運営をしたのでは、この生態系の中で他者が圧迫されることになり、ひいてはエコシステム全体が存続の危機に瀕しかねない。

これは広告掲載サイトについても同様であり、今回のForestle のふるまいはこの全体像を理解していないがために発生したものと推測される。

2008/08/31

Google 日本版にニュースが

日本版のGoogle トップページで、検索ボックス下にニュースを表示するテストが行われている。既にどこかで報じられていたような気がするが、Bucket Test に当たったらしく実際に確認できたので、スクリーンショットを貼っておく。記事の見出し+媒体名が8本記載されており、それぞれの記事へ直接とぶようになっている。



Google による日本独自でのUI 変更についての感想は「Pacman と化すGoogle」に書いたのでここでは繰り返さない。ただしモノが自前のサービスではないニュースということで、適切な対価なしに見出しや写真を借用することの是非がクリアにならないまま、(ある程度のトラフィックを送り込むことで)現状をなし崩しに追認させようというやり方には別途議論の余地があるかもしれない。

*ニュース周りについてはメディア・パブによる「Yahoo!ニュース(その1),なぜぶっちぎりの独走なのか」も参考になる。エントリーの主旨とは逆に、トピックスの面白さ・便利さがYahoo! JAPAN 全体を強化し、結果として検索その他のサービスもシェアを保っている、という見方はあってもよいと思うが。(……というところから今回のGoogle のUI テストを読み解くのも一興だろう)

*関連するエントリー:

2008/07/30

SEO 屋の半分はクズだ。

問題は、どの半分がクズなのか分からないことだ……とかいってみるテスト。まあ実際には「IP アドレスを分散させながら大量の検索クエリーを投げて関連検索ワードに表示させる」という、検索サービス提供者にとっての明白なスパム行為をサービスとしてリリースしてしまう分かりやすいクズもいたりするわけだが。

他にも実力もないのに"協会"を立ち上げる輩がいたり、(少し前だが)リンク販売に対するペナルティが業界をにぎわせている中でわざわざ被リンク目的のテキスト広告を売り出してみたり。

単に実力がない/頭が悪いものから、悪意を持ってスパムに手を染めるものまで実態はさまざまのようだが、あからさまなクズが近年とみに目につくように感じる。株式投資でいうと、ファンダメンタル分析の発想を持たず、目先の情報だけをもとにデイトレに狂じているようなイメージだろうか。

#一時的に通用したからといって未来永劫それで飯が食えるわけはなかろう。検索を取り巻くエコシステム(生態系)を理解せず、自分さえよければよいという発想の人間が増えたということか……などと書くと新聞の投書欄みたいで我ながらヤだが。

クライアント企業やメディアに対する啓発があらためて必要な時期に来ているのかもしれない、と愚痴まじりに書いてみる。


*関連するエントリー:

2008/06/29

全日本SEO 協会?

木の芽時は過ぎたはずだが、業界が成熟しだすとこういうのが増えるのだろうか。「全日本SEO協会」だそうで。こらこら、プロレス団体じゃないんだから新日本を作るとかいわないように。



この件を最初に報じた渡辺隆広氏のコメントもいい味を出している。
#いつのまにか、こんな団体ができてるんですねー 全然知らない人ばっかりー。
ははは。ネタにマジレスだけど、たぶん中小〜零細企業を相手に、地域名と組み合わせたキーワードなんかを提案して、運よく受注できたら一生懸命リンクを張ったりする人たちなんだろうなあ……そりゃあコンペにもならないし、知り合う機会もないだろう。

なお、ロゴの右下には登録商標マーク(®)が付けられているが、特許電子図書館の商標検索で調べたところ、本当に登録されていた。本質から外れて外面だけ整っているあたり、何やら先日の「インターネット検索能力検定」と同じにおいを感じるのは筆者だけだろうか。

全日本SEO協会「代表」の鈴木将司なる人物

全日本SEO協会のトップページには、中年男性の顔写真と「公認アソシエートコンサルタント第二期募集について」という文言があり、そこからリンクされている「公認アソシエートコンサルタント第二期募集について」のページを見ると、
アソシエートコンサルタントとして入会する条件は1年以上WEB業界での実績がありSEOに関して一定の成果をあげている方になります。

代表の鈴木将司が面接をさせていただき、上記の規定を満たしていることがわかりましたら加盟金100万円(分割可)と従業員3名以下の企業様の場合月75,000円を顧問料としてお支払いいただきます。
……と書かれている。「第二期以降は審査を厳しくしてハードルを越えなくてはならなくなります」というのがどことはなしに情報商材っぽく、ある意味おもしろい。

で、この鈴木将司なる人物はSEO の世界でどのような実績をあげているのだろうか。筆者が知る範囲のものをいくつか思い出してみよう。
  1. MarkeZine への寄稿「ヤフーの検索結果順位の極端な変動はなぜ起きるのか?」で “ヤフーのキーワード検索結果の激動の原因の1つがこの「ヤフーのサーバー上で(エリア検索、Yahoo!ショッピングなどの)CGIプログラムを多用したため、多大な負荷が生じている可能性がある」と推測できます” と書き散らして炎上
    (*現在は修正済み。コメント欄を参照のこと)
  2. ダイヤモンド・オンラインの「ヤフーの順位が「クリック要素」で変動する!?」では “Yahoo!の検索結果に表示されるOverture社のスポンサー広告を購入すると検索順位が若干上がり、広告をやめると順位が下がる” など根拠のない事象をもとに「Yahoo!JAPANも、日本語版のYahoo!ツールバーを使って、ユーザーが閲覧したページを追跡調査している可能性が高い」と結論
いやはや立派なご仁だこと。全日本SEO協会に対抗して、SEO の「と学会」でも結成したいくらいのものだ。

2008/06/17

Re: 電通調査の件

だいぶコメントするのが遅れたけど、この話。電通が2008年2月に実施した「クロスメディア行動調査」(リンク先はPDF )に関するsmashmedia 河野氏のエントリーから。まず電通の調査自体は、企業にオンラインでのマーケティングへもう少し意識を向けてもらう上で「使いやすい」調査結果だろうと個人的には思うが、「最近1カ月間に広告を見て、その内容に関してキーワード検索をした」人の比率に関する以下のコメントには同意。
1ヶ月以内っていうスパンの取り方が正しいのか微妙だけど、それはさておき、ぼくはケータイでしか検索しない人(この調査だと1.2%)がもっといると思う。これもパネルがPCユーザーだから現れてるバイアスじゃなかろうか。




それではこちらの調査はどうだろう。Jストリームが2007年12月に発表した「ネットユーザー利用動向調査」。マルチデバイスによるインターネットアクセスの拡大を見据えて、PC ユーザー/ケータイユーザーの双方を対象に実施したものだという。

この中に上掲の「広告によるキーワード検索」に関する設問と近いものがある。「テレビ視聴がきっかけで、詳細を知るのに使うネット端末はどちら?」というもので、ただし回答は「PC」「携帯」「PC や携帯ネットで詳細を調べない」の3択となっている。



こう見ると、ずいぶん違う結果だという印象を受けるのではないか。選択肢が違うものの聞きたいことはほぼ同じはずなのだが、パネルの組み方もあってずいぶん違ったものになっている。PC での検索だけでなく、モバイルへの取り組みも忘れずに、と伝える際に側面から援護してくれるような資料ではある。

#個人的には、(テレビではなく)交通広告などで検索を喚起している場合がこれに近いような感触ではないかと。

*ただしこの調査、有効回答数2,866のうち「携帯のみ+主に携帯でアクセスするユーザー」が1,696、「PC のみ+主にPC でアクセスするユーザー」が1,170ということのようなので、モバイル側の利用が強く出るきらいはあるだろう。これが日本のインターネットユーザーの端末利用動向に即しているか、というとそれはそれで微妙かも。詳しくは元のリリースを参照のうえ各自でご判断を。

2008/06/05

インターネット検索能力検定とは何だ

インターネット検索能力検定」というものがあるそうな。「日本インターネット検索能力検定協会」なる特定非営利活動法人(NPO)が実施する検定試験に合格すると取得できるのだそうで。級の認定は「初級、1級、2級、プロフェショナルの4段階」。

インターネット検索能力検定

インターネット検索がそれだけ普及した、ということを間接的に証明するものではあるだろうが、検索する能力まで検定してもらう時代なのか、とある意味で新鮮な驚きもある。裏で推進した人間たちの「ビジネスになるかも」という目のつけどころは面白いし、最低限の体裁は整えているようなので、生温く見守る事としたい。

ちなみに上掲画像のメニュー部分、中項目の2番目が「検定試験の種類と体形」となっていることに象徴的だが、サイト内につっこみどころがものすごく多い。「取得後の効果」のページなど、読みながらニコニコしてしまうほど。たとえば取得後の効果として、
  • 自己能力の認識
  • 仕事効率の向上
  • 就職に役立つ
などが挙げられており、そのために学ぶべき技術として

・マイナス記号で指定
・キャッシュのクリック
・OR検索
・アンカテキスト検索
・ドメイン検索
・ページランク機能
・とは検索
・キーワードのわざ
・マイナス検索
・完全一致検索
・ワイルドカード検索
・翻訳
・ブログサーチ
・I‘mFeelingLucky検索 等
(以上、リスト表示に適切なタグを使用しない点も含めて原文ママ)

などが列記されている。レイヤーの違うものを無理矢理つめこんだ印象がぬぐえない上、OR は全角で表記されており、「I'm Feeling Lucky 」に至っては全角半角が混在する始末。「Lucky」ってアンタ……そもそも「I'm Feeling Lucky 」って検索ユーザーが覚えるべき「技術」なのだろうか。

その下に記載された「特殊構文」にも誤字が複数含まれているので、おヒマな方はどうぞ(検索エンジンによって異なる部分が考慮されているように見えず、それはそれで突っ込みどころだが)。このページの間違いをすべて指摘できれば「インターネット検索能力検定」の初級くらいは合格できることだろう。

#……筆者? 受験して落ちでもしたらたいへんなことなのでパス。 (w

2008/05/20

Re: 検索語数の重要性

#某上場会社グループが開設しているSEO 関係のブログに、わびしい気持ちにさせられるエントリーを発見したので軽く突っ込んでみよう。このエントリーがきっかけで先方に注目が集まったらヤだな。弱いものイジメとかいわないように。

検索語数の重要性」というタイトルで蘭OneStat.com の発表をマクラに説き起こしているのだが、そのリンク先がなんと2004年2月のリリース。一階層あがって"Press Room" を見れば2007年10月の数字が発表されていることに気づくだろうと思うのだが、基礎的な情報収集能力に欠けているのだろうか。

参考までに2007年10月時点では、1語で検索する人の割合は15.2%まで下がり、2語が31.9%、3語が27.0%となっている。



6語以下は省略。気になる方はOneStat.com のサイトで直接確認していただきたい。なお、欧米系の言語では日本語での1語、2語の感覚と比べて多くカウントされる傾向にある、ということに留意する必要がある(……ということが元エントリーに書いてないといけないわけだ)。

せっかくなのでもう少し。



この図は「インターネットマガジン」2006年3月号の特集「ロングテール化するNet広告(PDF ファイル)」の38ページに掲載されたもの。同じOneStat.com の数字を用いながら、検索語数が増加していくようすをグラフ化している。今どきロングテールも流行らないが、まあ2年以上前に出たグラフということで紹介しておく。

*関連するエントリー:

2008/05/18

米国向けLive Search を日本国内から体感する方法(あるいは、検索エンジンはいかに国別サイトへリダイレクトするか)

SEM に携わる関係者や、検索に関する動向に興味のある方にとっては「米国向けに先行して実装されることの多い最新機能を確認しておきたい」というニーズも強いことだろう。その点、www.live.com へアクセスすると(URL はそのままで)日本向けにカスタマイズされたコンテンツが表示されてしまうLive Search については、どこまで進化しているかを体感できないでいる人も多かったのではないか。

そんな方に朗報。"Live Worldwide" のページから「米国(英語)」を選択することで、米国国内向けに提供されているLive Search を利用することができるようになった。



例えば上記は米国向けのLive Search で"New York Traffic (ニューヨークの道路状況)" と検索してみたところ。渋滞の状況が赤〜緑で表示されるとともに、事故やイベントによる通行止めの情報が地図上にマップされている。ちょっと気の利いた機能だと思うがいかがだろうか。

*実際には、たとえばIP による所在地判別などは日本国内のIP アドレスからではうまく動かないため、残念ながら現状のLive Search の面白さをフルに体感できるわけではない。とはいえ一部だけでも「意外に悪くないかも」と思わせるものがある。肝心の検索精度についてはまた別の話だが。


国別サイトへのリダイレクト

上記"Live Worldwide" に関する情報はSearch Engine Land の"How Search Engine Redirect Users To Country-Specific Sites" (検索エンジンはいかにユーザーを国別サイトへリダイレクトするか)と題したまとめ記事から。米Yahoo! が英国からのアクセスをuk.yahoo.com へリダイレクトするようになったことをきっかけに書かれたものだ。

記事中では英国からのアクセスを各検索エンジンがどのように処理しているか、を解説している。日本のユーザーも例えば「www.google.com 」へアクセスしたら「google 日本(www.google.co.jp)」へリダイレクトされた、などの経験を日常的にしていることだろう。これらの処理や、検索結果や広告の表示がどうなっているか、というあたりが平易な英語で書かれているので、興味のある方には一読をおすすめしたい(技術的に詳述したものではない。為念)。

この国別サイトへのリダイレクト、英語が得意でない大多数の日本人にとって便利な仕様だといえよう。一方で米国と同じ英語圏である英国(やカナダ、等々)のユーザーにとっても、米国内から発信される膨大な情報に埋もれがちな自国発の情報をうまく拾いだすことが可能となるため、利便性は高そうだ。例えば記事中でも触れられているように、英国と米国で指すスポーツが異なる「football 」(英国ではサッカー、米国ではアメフト)という単語にどのような検索結果が求められるか、ということを考えてみるとよい。


*関連するエントリー:

2008/05/14

ブラウザによるURL の補完

某所にて、とあるサービスのプレゼンを受けていた時のこと。「実際の画面を見せますね」といいながらブラウザのURL 欄(Firefox でいうロケーションバー、Safari でいうアドレスフォーム)に「http:// 」から手入力をされたので驚いた。参考までに以下にSafari のヘルプを示すが、

ブラウザによるURL の補完に関するSafari のヘルプ

こちらにあるとおり、Internet Explorer も含めた現在の主要なブラウザは「アドレスの主要な部分を入力すると、残りの部分が自動的に入力」されるようになっている。たとえば、
「http://www.cats.com」にアクセスするには「cats.com」と入力します。
といった具合。必ずしも「http://〜 」から打つ必要はないわけだ。当たり前だと思っていたが、意外に知られていないのだろうか。ちなみにプレゼン担当者はインターネット関連の外資系企業で社長を歴任されてきた方であり、決してリテラシーは低くないはず。

何でもまず検索する時代になって、URL を直打ちすることも減っているとは思う。が、こういったちょっとしたTips がどこまで普及しているかによって、例えば「canon.jp 」「panasonic.jp 」といった表記でURL をマス広告上に記載することの評価も違ってくるのではないか。機会があればブラウザまわりのあれこれについてアンケートをとってみたいものだ。

#久々の更新ながら小ネタ。まじめな話は気長にお待ちを。

2008/04/09

君はYahoo! のAMP! を見たか

米Yahoo! が2008年第3四半期の提供開始を目指して開発中の、オンライン広告管理プラットフォーム「AMP! (Advertising Management Platform)」。米国時間4月7日の正式発表を受けて、日本語での記事も散見されるようになってきた。
米Yahoo!は米国時間2008年4月7日,新たなオンライン広告管理プラットフォーム「AMP! from Yahoo!」(開発コード名は「Project Apex」)を発表した。オンライン広告の売買に伴う手間を減らし,広告主や広告代理店,配信ネットワーク,掲載メディアなどの作業負荷を軽減できるという。(Source: ITpro
#ちなみに開発コードの「APEX 」は「Advertiser Publisher EXchange 」。これはこれでシンプルながら味わい深い。

さて、AMP! の発表と同時にデモ動画が公開されているのだが、読者諸賢は既に確認済みだろうか? リリースからリンクが張られているのだが(←一次ソースに当たることはいつでも重要)、埋め込みが可能なようなので試してみる。こちら:



見られない人はこちら(*)から:



30秒過ぎから管理画面の一部(地域ターゲティング機能や属性ターゲティング、実際に広告を表示する際の見え方を確認するプレビュー機能など)が見られる。UI はなかなかに洗練されていて、一見の価値ありといえよう。

念のため、AMP! によって実現されることとしては
AMP!では,検索広告や地域広告,モバイル広告,動画広告などさまざまな種類の広告を,Webブラウザから集中管理し,オンライン広告の制作/販売/購入時に必要となる業務を簡素化する。配信対象の地域やユーザー属性などの細かな指定が可能で,より適切な対象者に広告を届けて効果を高め,収益につなげられるという(ITpro )
となっている。インターネット広告に携わる人であれば、その可能性はある程度は想像できるだろう。

このプロジェクトをこの時期に発表してきた理由はおそらく誰しも想像のつくところかと思う。しかし報道等を見る限り、広告プラットフォームとしてのAMP! の評価そのものは概して悪くない(予告した時期に提供を開始できれば、という注釈がつくが)。

そして、このデモ動画から垣間見えるAMP! の姿からは、米Yahoo! が自らの強み(と改善ポイント)を理解し、自社が「広告主やサイト運営者、そしてインターネットユーザーに対してどのような価値を提供できるか」を真剣に考えている様子がうかがえる、といったら言い過ぎだろうか。しかし、本当によいもの、長きにわたって支持されるものを作り上げるためにそういった「志」が必要であることは間違いないだろう。期待して待ちたい。


*このURL での公開はいずれ終了するかもしれないが、米Yahoo! の公式ブログ「Yodel Anecdotal」に掲載された同社President のSue Decker からのポストにも同じ動画が張り込まれている。こちらはおそらく保持されることだろう。為念。

2008/04/08

Google maps で聖火リレーを追跡

北京オリンピックの聖火リレーが、チベットでの事態を受け、ロンドン、パリなど各地で激しい抗議行動にあっている模様。今後、聖火がどの都市を経由するのかをGoogle Maps で確認することができる



文字どおり、聖火が世界各地にリレーされる様子を理解できるだろう。同じページ内には、聖火リレーの様子をより詳細にGoogle Earth で追跡するためのリンクや、ブログへの埋め込み用ガジェットなども用意されている。

*なお、出発地オリンピアから先日のロンドンまでの6都市については、市内のどこを通過する(した)かが吹き出しで表示されるが、パリ以降の各都市については "Torch route information not yet publicly available." (ルート情報はまだ公式に提供されていない)となっている。各地での混乱を受けたものかどうかは不明。

2008/03/23

Pacman と化すGoogle

一発ネタ from Search Engine Watch Blog(Google Increases Lead in Share of All American Searches)。

Google Pacman

米comScore による「2008年2月の米国における検索エンジン利用率」の発表を受けて書かれた記事のイラスト。

comScore の発表によれば、5つの主要検索エンジン中、Google が0.7 ポイント伸長して59.2%となり、Yahoo! は0.6ポイント下げて21.6%に、Microsoft も0.2ポイント減の9.6%となっている(残り2つはAOL とAsk でそれぞれ5%弱)。つまり実際に上掲の画像ほどシェアを押さえたわけではないが、確かにPacman(パックマン。覚えてる?)なみの食欲で突き進んでいる印象はあって苦笑してしまった。

comScore share of search

なお、先週はGoogle 日本のトップページが変更されて話題となったが、日本を含む東アジアやロシアにおいて、Google が米国や欧州ほどの成功を収められていないのはよく知られた話。それはGoogle の提供する各種の機能・サービスがあまり認知されていないことに起因する部分もあるだろうから、今回の改変の意図はある程度、理解できる。

しかし一方で、日々改良を進めている"Universal Search" (*)の根底にある考え方をいったん脇に置くことにもなるわけで、技術面で先行しつつ自分のスタイルを貫くというGoogle 流のかっこよさみたいなものが薄れた気がして、残念でもある(デザインのよしあしとはまた別の、姿勢とかそういう類いの話として)。

* SMX West では"One place to go, and one search box" みたいな言い方をしていたかと。"Make google.com the search box of first resort." とも。なお、"Universal Search" はGoogle の呼び方であり、たとえばAsk 3D をUniversal Search と呼ぶのはNG 。中立的な表現としては"Blended Search" などがある。

2008/03/17

いわゆる業界誌:"Search Marketing Standard" と"Visibility"

#SMX Wext で見つけた小ネタその2。早く書かないとSES NY がはじまってしまうので。

Search Marketing Expo 2008 West (SMX West) の会場で、"Search Marketing Standard" と"Visibility"のバックナンバーが無料配布されていた。どちらもいわゆるSEM に関する情報に特化した雑誌で、いうなれば業界誌という感じ。

Search Marketing Standard とVisibility

Search Marketing Standard は2006年夏号から季刊で発行されており、購読料金は年間15ドル(米国外は年間20ドル。バックナンバーは1部につき10ドル)。Visibility は2007年7月発行開始ということで最近の参入。最新号が3号目となる。SEM 以外のOnline Marketing も扱っており、1部9.95ドル。

ここでしか読めない最新の情報が載っているという印象はないが、いずれもよくまとまっており、読みやすい(特にSearch Marketing Standard)。また、SEM 会社やツールベンダー等から広告がきちんと出稿されている点に、米国におけるSEM 業界の裾野の広さを感じさせられた。

#日本でいうと翔泳社「SEO SEM Technique」あたりが近いと思われるが、ボリューム的にはむしろSEO SEM Technique のほうが充実している(たまたま編集体制を知っているが、あれだけの内容を毎号まとめるのはたいへんな作業だろう)。米誌に見習う点があるとすれば、全体のテイストがある程度統一されていて、書き手による売り込み色が薄く「Web マスターにとって有益な情報とは」という視点が固持されている点だろうか。

*関連するエントリー:

*参考情報:
インターネットコムでアイレップ岡本氏による(小ネタではない)ちゃんとしたレポートの掲載が開始されている。

2008/03/16

Search Marketing という言葉は一般化するか

微妙に気になる表現を見かけたのでポスト。少し前のエントリーだが、「サーチ|心ごころ」に、以下の記述があった。
だから、サーチ、サーチってよく言ってるけど、検索行動だけでなく、もっと情報収集行動全体を捉える必要があると思う。そう考えると、SEM(サーチエンジンマーケティング)っていう言葉もSM(サーチマーケティング)って言葉に置き換えて、生活者のサーチ行動を俯瞰した視点で仕事しなきゃいけない。 (*注:改行は除去した)
「全体をとらえる必要がある」とか「俯瞰した視点で」というのは同意だが、だからEngine がはずれる、というのが論理的にしっくりこない。それなら無理にSearch を残す必要もないような。いっそSearch Engine をとっぱらってただのMarketing なり、あるいはOnline Marketing でよいのではという気もする。

ただ、米国でもS とM の間に"Engine" をはさむ必要性はあるのか、というところに徐々に疑問が持たれ、"Search Marketing(サーチ・マーケティング)" と呼ぶ人が増えてきているのは事実。語呂の問題もあるだろうし、米Overture Services が米Yahoo! に買収された後、2005年3月に"Yahoo! Search Marketing" とリブランドされたのも拍車をかけたのではないかと思われる。

SMX West の会場でも、どちらかと言えばSEM よりもSearch Marketing と呼ぶ人が多いように感じた。何よりイベント名が「Search Marketing Expo 」である訳で……米日問わず、検索連動型広告をSEM と呼ぶ輩も後を絶たないため、いっそ大枠を"Search Marketing" としたほうがすっきりするかもしれない。ただ、アジェンダ一覧を見るとわかるとおり、この領域全体の略語としては「SEM」の表記が使われている(Focus: のところを参照。ちなみに広告はPPC とされている)のは認識しておいたほうがよいだろう。やはり"SM" ではまずい、というのが一般的な判断かと。

工事中?

#当ブログの名称「SEM酒場」もいずれ変更の必要が出てくるかもしれない。当面はこのままでいきたいと思うが……

2008/03/08

adCenter Add-in Beta for Excel 2007

Search Marketing Expo 2008 West (SMX West) で見つけた小ネタその1。

adCenter Add-in for Excel 2007 のチラシ

SMX West が開催された3日間のうち、2日目と3日目には各社による展示も行われた。Microsoft のブースはLive Search とDigital Advertising Solusions の2つを前面に打ち出して構成。その中に"adCenter Add-in Beta for Excel 2007" なるもののチラシが置かれていた。宿に戻って調べてみると、これが意外に面白い。

名前のとおり、基本的にはMicrosoft Excel 2007 に組み込んで使う、adCenter を管理・運用するためのツール。64MB もの容量のzip ファイルをダウンロードする必要があるが、以下に紹介するとおり機能面は予想以上に多彩だ。Add-in を入れると次のようなボタンがExcel に追加される。

adCenter Add-in で追加されるボタン

これらをいかに使うか、について分かりやすいデモが用意されている。Overview はスキップして、Keyword Suggestion とKeyword Monetization 、Keyword Forecasting を眺めてからKeyword Wizard を見ると理解しやすいのではないかと思う。ちなみにKeyword Monetization の画面はこんな感じ。

Keyword Monetization を説明するデモ

参考までに、仕様を説明したPDF ファイルによれば、機能として提供されるのは以下の内容となっている(括弧内はボタンを押すと出てくるサブメニュー)。
  • Keyword Wizard
  • Keyword Extraction
  • Keyword Suggestion (Campaign Association/Contained/Similarity)
  • Search Buzz (Top Spiky Keywords/Top Frequent keywords)
  • Monthly Traffic (Monthly Traffic/Daily Traffic)
  • Keywords Categorization
  • Geographic
  • Demographic
  • Monetization (Monetization/Vertical KPIs)
  • Advanced Algorithm
  • Options


筆者の環境ではこのAdd-in を入れることができないため実際に試しての感想ではない(おそらく現時点では日本語も通らないものと思われる)が、この「adCenter Add-in for Excel 2007」、自社の強みであるOffice Suite のシェアをうまく活かした興味深い取り組みではないか。Google のAdWords Editor のように実用に徹したツールともまたひと味ちがった面白さがある。

#adCenter は日本でのサービスが始まっていないためノーマークの人も多いと思うが、機能的にはYahoo! Search Marketing はおろかGoogle AdWords をも上回るのではないか、と業界筋ではいわれている。とはいえ、有力な広告配信先と広告主を確保できなければ宝の持ち腐れであり、それが現在のYahoo! への……ゲホゲホ(以下略

*関連するエントリー:

2008/03/07

Search 関連カンファレンスの場合

#クイックに。SMX West の小ネタ報告は週末に書く予定。
この業界にいて、これが「ジャパン・パッシング」だと実感する事象の代表が、世界各国で開催されるカンファレンス「AdTech」が、未だ日本で開催されていないことだ。そうこうしているうちに中国では行なわれている。
AdTechの隆盛とジャパンパッシング - 業界人間ベム
SMX (Search Marketing Expo) も先に中国へ出るようだ。4月18〜19日、場所はXiamen(廈門、アモイ)。広告業界とは事情が違うとは思いつつ、やはり寂しいものがある。



#広告業界は十分な市場があってなおかつパスされている。検索に関しては日中ともに市場の規模と理解がじゅうぶんでないので、潜在市場の大きいほうへかけた、という理解が妥当かと思う。


SES Tokyo is Back!

そんな中、老舗イベントのSearch Engine Strategies がこの秋、2年ぶりの東京開催を予定している。いま確認したら、期日も告知されていた(10/28-29)。2004〜2006年にかけて日本で開催されたSES がぱっとしなかったのは、何より当時の主催者が展示会屋の発想を抜け出ることができなかったためだと思うが、今秋のSES Tokyo では米国スタイルを踏襲し、来場者からある程度の聴講費を徴収するかわりに、真に有意義な情報の提供を中心に置く、とのこと。期待したい。

*関連するエントリー:

2008/02/24

SMX West - Search Marketing Expo West 2008 まもなく開催

2/26〜2/28、米国加州はSanta Clara で「Search Marketing Expo West 2008 (SMX West )」が開催される。筆者もひっそりと聴講の予定。現地で見かけたら声をかけていただきたく。ここで紹介できるような気の利いた小ネタが見つかれば帰国後に報告したいと考えている。
#加州ってカリフォルニア州ね、念のため。

SMX logo

ちなみにSMX は、業界の定番イベント「Search Engine Strategies」を長年にわたって手がけてきたDanny Sullivan 氏が昨年あらたに立ち上げた、Search Marketing に関するカンファレンス(詳しくはこのページ)。SMX West は4トラック×3日間の規模で開催される。

*関連するエントリー:

2008/02/21

2006年、ネットはすでに雑誌を超えていた 〜電通「日本の広告費」

電通から「日本の広告費」が発表された。今回の2007年分から推定範囲が改訂されており(*)、推移を見るために2005年にさかのぼって発表している。

*改訂のポイントとして大きくは、雑誌の対象に「業界誌、専門誌、カード誌・会員誌、ローカルタウン誌」を加えたこと、これまで媒体費だけを推定していたインターネット広告に関して広告制作費も加えたこと、旧「SP 広告費」を「プロモーションメディア広告費」とし、フリーペーパー・フリーマガジンを対象に加えたことなどが挙げられる。



考察は他の方がやるだろうし、いろいろ商売ベースの思惑やら政治的な話があるものを論評してもなあという気がするが、1点だけ。CNET では
新聞、テレビ、ラジオ、雑誌のマスコミ4媒体は3年連続して前年を下回り、一方で4年連続増加となったインターネット広告費がついに雑誌広告費を抜き去った。
ネット広告費が雑誌広告を抜き去る、電通発表「2007年日本の広告費」
と報じられているが、改訂後の2006年の数字(上掲画像の右から2列目)を見ると
  • 雑誌広告費: 4,777億円
  • インターネット広告費(媒体費+広告制作費): 4,826億円
で、すでにインターネット広告が雑誌広告を抜いていたことが分かる。だからどう、ということもないのだけど。

#それにしてもなぜ電通のPDF はテキストのコピーを許可しない設定になっているのか。

2008/02/18

米B to B マーケターへの意識調査

MarketingProfs がForrester Research と共同で実施した、B to B マーケターに対する意識調査「B-to-B Marketing in 2008: Trends in Strategies and Spending」が興味深い内容であった。少し前に発表されたものだが、以下、簡単に紹介する(詳細については上記リンクからダウンロードが可能。興味を持った方はどうぞ。連絡先情報などの入力が必要)

この調査はB to B (対企業)のマーケティングに従事するマーケター462人を対象として、2007年の第3四半期に実施したもの。企業規模や業種、回答者の職位など属性はまちまちで、全体のマーケティング予算を把握していない、と答えた人が15%いるなど、ちょっと首をかしげるようなところもある。ただ、B to C (対消費者)のマーケティングに比べて情報の少ないこの分野の傾向を見るにはよいのではないか。

実施しているマーケティング手法

まずは実施しているマーケティング手法を聞いたのがこの図。メールやPublic Relations (広報)についで「Tradeshows (展示会)」が上位に入っている点はいかにもB to B っぽい。ダイレクトメール、紙媒体への広告出稿とつづき、Search Marketing は実施率61%で6番目に入っている。

ちなみに今後の予算の増減について聞いたところ(14ページ)、もっとも増額意向が高かったのは「Online Video, Podcasts, or Rich Media」で56%、ついで「Search Marketing 」に対して55%が予算を増やすと答えている(そのまま、が41%、減らすと答えたのは4%)。利用率が相対的に高く、かつ増額の方針ということは、B to B においてもある程度Search Marketing の満足度の高いことがうかがえる。


目的別の有効度評価

上記はある意味、想定の範囲内。むしろ興味深かったのは以下の3つのグラフだ。目的別に、有効と思われるマーケティング手法を回答させたもので、横軸が実施率(つまり、上掲のグラフを横軸に展開している)、縦軸が「有効である」と回答した率である。横方向の位置関係は3枚とも共通であるため、それぞれが上下する様子に注目してほしい。


リード獲得に有効な手法
リード獲得に有効な手法


まず「リードを獲得する」場合。「Executive breakfasts, seminars 」つまり、上級管理職/決済権限者を対象とした、商談をしながらの朝食や少人数制のセミナーなどの評価が高い。その他、「Inside Sales (内勤営業。テレマーケティングなどのイメージ)」「Webinars (オンラインセミナー)」「Search Marketing 」とつづく。


メッセージを伝えるために有効な手法
メッセージを伝えるために有効な手法


「メッセージを伝える」ということを目的にする場合には、メールと、先ほどの「Executive breakfasts, seminars 」が高い評価を得ている。


ブランド認知の向上に有効な手法
ブランド認知の向上に有効な手法


そして「ブランド認知を高める」のが目的の場合には、「TV Advertising (テレビ広告)」の評価がいきなり跳ねあがる。実施率こそ低いものの、実施した企業はブランディングに関するテレビ広告の効果を高く評価していることがわかる。またPublic Relations (広報)も60%近い評価を得ており、こちらもブランド認知の向上に寄与すると考えられている。

#広告枠の頭に「PR 」とつけるのが横行しているが、当然ながら広告と広報は別物である。アピールとピーアールの語感が似ているのをよいことに混同させようとしているのかもしれないが、広報サイドから見ると迷惑きわまりない話だろう。


このように、目的によってそれぞれの手法の効果は異なっており、自社の目的とその優先順位を意識した上で、予算なども勘案しつつ必要な手法を組み合わせることが重要といえそうだ。なんとなく感じていたことがデータで示されてすっきりした感じではないだろうか。またB to B のマーケティングにおいて「効果が高い」と評価されている手法は、消費者向けのマーケティングのように広告一辺倒でないことも理解しておきたい。

昨今の「広告か、広報か」のような議論も、対象(B or C )、何を売るのか(サービス or 商品 or ...。ハードウェアを売っていると見せて実は導入コンサル料やその後の保守費用で稼ぐ、などもありがち)やその新規性、価格、購買頻度、市場の成熟度、などを踏まえる必要があるように感じられる。

*関連するエントリー:

2008/02/11

baidu.co.jp - 百度(Baidu )とは無関係

1月23日に日本向けの「本格的な」サービス提供を開始した中国発の検索エンジン「百度」(Baidu、バイドゥ)。本家のシンプルなトップページをあえて変えてきたアプローチはAsk.jp を思わせる、といったら縁起が悪いだろうか。まずはお手並み拝見といったところ。

baidu.jp

ちなみに百度の日本向け検索サイトのURL は「baidu.jp」。「jp.baidu.com」などを使う手もあっただろうが、汎用jpドメインを手堅く押さえている。ところが、ついでにbaidu.co.jp を叩いてみて困惑。青を基調としたページに「中国家庭料理」「ブランドウォッチ」「整体サロン」などの文字列が。

baidu.co.jp

baidu.co.jp は、東京に本社を置く「シービーシー株式会社」が使用しており、検索エンジンの百度とはまったくの無関係、ということらしい。ミクシィのようにサービスサイトは「mixi.jp」、企業サイトは「mixi.co.jp」と使い分けをしている例もある(他にはエフルートなども同様)だけに、すっきりさせておきたいところだが……

この件、実は2007年3月に日本知的財産仲裁センターからの裁定が出ていたそうで。
裁定によると、シービーシーは2006年12月7日に同ドメイン名を登録していた。これに対して百度は同年12月末、代理人を通じてドメイン名の譲渡申し入れを行なったが、シービーシーが譲渡の提案を拒否していた。
「baidu.co.jp」を百度に移転せよ、知的財産仲介センターが裁定(INTERNET Watch)
裁定が出てからもう1年近くになるが、まだ決着していない、ということなのだろうか。オールドスクールには懐かしい「goo.co.jp」をめぐるもめ事(何のことやら、という方はこちらなど参照のこと)のようにならなければよいのだが。まあ今どきのインターネットユーザーはURL の直打ちなどせずに「百度」ないし「Baidu 」と検索してbaidu.jp にたどりつくだろうから、それはそれで大丈夫なのかもしれない。……っておい。(「セカンドサーチエンジン」ってそういうことじゃないよね)


#今回「baidu.co.jp」がヘンだと教えてくれたのは同僚のSH。Thanks!

*関連するエントリー:

2008/02/06

それはペイド・インクルージョン(Paid Inclusion)ではない

livedoor ディレクターBlog に「モバイル検索の裏側」というエントリーが掲載された。ジェイ・リスティングの山田という方が「ケータイlivedoor」のモバイル検索について語っている。モバイル検索におけるディレクトリ型検索エンジンの有効性を説明し、
登録サイトをロボット型検索エンジンのクローリングの基点にすると共に、登録サイトが優先的に表示されるようなアルゴリズムを組むことにより、検索結果の精度を向上させる取り組みが成されています。
と紹介している。つまり、もし仮にケータイlivedoor でのSEO を検討する際にはまずディレクトリ登録(≒Jリスティング社の「Jエントリーモバイル」)から、という話だ。



さて、明らかな間違いが次の「モバイル検索連動型広告について」の章に含まれている。いささか長くなるが、当該部分を引用する。
モバイルにおいてはロボット型検索エンジンのみの場合、前述の要因の影響で検索結果として不十分なものになる可能性が高い状況です。そこに対する解決策として利用されているのが、ジェイ・リスティングの検索連動型広告であり、ペイドインクルージョンという手法です。

ジェイ・リスティングの検索連動型広告では、事前にクライアントが購入するキーワードとそのサイトの関連性を審査しています。その審査を経た広告を検索結果の上位に混ぜ込むことで、検索ワードと関連性が高い検索結果としての広告を提供することに繋がっています。(強調は筆者)
うーん……。ペイド・インクルージョン(Paid Inclusion。Pay for Inclusion、略してPFI ともいう)とは、クローラーによるデータ取得が難しいサイト(例えばCGI を用いたECサイト)などを対象に、有償でWeb ページのデータを検索エンジンのインデックスへ格納するサービスを指す。山田氏が書くような「PCの世界においてはタブー視されている手法」ではなく、クローラーの性能が低かった時代にはそれなりの意味を持つサービスであった。ただし、必ずしも検索結果における上位表示を保証するものではない、という点を認識しておきたい。クローラーの性能があがり、かつ、まっとうなSEO の知識に基づく検索エンジンフレンドリーなサイト構築が普及してきた昨今ではほとんど顧みられることがなくなりつつあるプログラムといってよい。

ということで、上記のように「広告を検索結果の上位に混ぜ込む」というのはペイド・インクルージョンとは本来関係がない。混ぜ込む先はインデックスであるべきで、検索結果へダイレクトに「混ぜ込む」のはまた別の話だ(要は中国における百度の検索結果などと同一、という理解でよいだろうか?)。それはモバイルであっても「タブー視される手法」だろうと考えられるし、広告は広告として判別可能な形で掲載するのがのぞましいのではないだろうか。

意図的に話を混同させているのであればたちが悪いが、心からそう思い込んで書いている可能性もあって判断しがたい。思い込みで書いてしまったのであれば、早期に訂正されることをおすすめする。検索結果ページの表示形式についても(筆者の理解したような手法であるならば)再考されるべきかと思う。

2008/02/05

インターネットユーザーの時間を値付けする

#業界騒然の、現在進行中の例の件について考える際の材料にしていただければ、と。

たいへん興味深い「Grabbing Those Valuable Search Minutes」なる記事がeMarketer にアップされている。



まずはこちらの図。ユーザーがインターネット上で過ごす時間のうち、検索結果ページに接触しているのはわずか4.6%に過ぎず、しかもその割合は年々低下している。それ以外の時間、ユーザーはコンテンツを閲覧したり、コミュニケーションをとったり買い物をしたりしている。検索、検索と騒がれているが、検索している時間は実際のところせいぜいこのぐらいだったりするわけだ。

考えてみれば当たり前のことで、もともとユーザーは自分が必要な情報を得るなり、特定の場にアクセスして交流することを目的としており、検索はそのための手段に過ぎない。言い方を変えると、ユーザーは別に検索という行為そのものを目的としている訳ではない。従って、ユーザーがインターネット上で過ごす時間の中で、検索に接しているのは20分の1にも満たないごくわずかの時間ということになる。



ところが、広告主がユーザーとの接触を求めて広告費を投下する時間区分、という観点で見ると、「検索している時間」に対しては2007年で1時間あたり5.07米ドルが投じられている。かたや、「コンテンツを閲覧している時間」に対しては1時間あたり0.49米ドル。つまり、同じ1時間に対して広告主は10倍以上の価値の差を感じていることになる。

この数字からは、ユーザーの興味・関心が顕在化し、かつその内容を検索キーワードを通じて容易に把握可能な「検索」という場の価値がうかがえる。そして、この場に広告の考え方を持ち込んだビジネスモデルの秀逸さと、その価値ある場を押さえているプレイヤーの強さが浮かび上がってくるだろう。しかも上掲の図は、この検索という場の価値が2006年から2007年にかけてさらに上昇したことを示している。

こういった現状把握をベースに、今後の業界勢力図を考えてみるのは面白いのではないか。

あくまで、この価値ある「検索」という場の奪い合いを続けるのか。それとも、マネタイズ(収益化)が十分でないとも解釈しうるコンテンツ閲覧やコミュニケーションの時間をいかに収益化するか、という点にフォーカスするのか。もちろん単価が低くても、コンテンツ閲覧に費やすユーザーの膨大な時間を自社の陣営に集約することができれば、それは十分な収益源となるだろう。

*もちろん、現在の検索のあり方が完成形でない以上、いまある検索よりもユーザーの期待に応えるものを実現できれば、こういったレースの前提が変わってしまうことは言うまでもない。

2008/01/20

「業界人間ベム」(g-yokai.com)

ADK の有志が立ち上げたネット広告関連のブログ「業界人間ベム」が好調のようだ。子どもの頃、夕方に再放送されていた「妖怪人間ベム」を見て育ち、「♪闇に隠れて立ち小便〜」などと替え歌を歌っていた人間としては、懐かしさとともに(ドメインの選び方を含め)うまいな、と思わされたが、エントリーもさすがに興味深いものがつづいている。

業界人間ベム ロゴ

タグラインには「ハヤクネット広告業界人間ニナリタイー」とあるが、プロフィール等の諸情報から推測される書き手は、総合広告代理店に身を置きつつ早くからインターネット広告に取り組んできた例の人たちだと思われる(ベロO駄さんでは?)。ナリタイも何も、という感じだが、むしろサイト名の英訳「Neo Interactive Agency Founder BEM 」が彼らの志をよく表しているのではないか。

直近のエントリー「『ブランディング』とは何か」ではネット専業系の広告代理店に対して、
従来のある意味やりっぱなしの広告で、どんな表現(メッセージ)やどんなメディアによる接点が、売りに結びついたかの検証がほとんどできない(しない)文化で育った人だけでなく、日々広告のROIを追求されつつも、クリエイティブとは呼べないようなテキスト広告でも、どんなフレーズやワードにはクリックが多く、アクイジションするかを体験している人が、メッセージの表現の仕方を拡張していくことにすごく期待する。
といったエールが送られている。逆も真なりで、伝統的な広告代理店が蓄積してきた広告に関する理論や知見は、当然インターネットにおいても活かせる部分があると思われる。また企業のマーケティング活動においてインターネット広告だけで完結することはほとんどない(ついでにいうと広告だけで完結する部分もない←これも重要)以上、狭い範囲のROI にとらわれるのではなく、中長期かつ全体的なキャンペーン設計のあり方を学ぶことは、SEM を含めたネット系のプレイヤーにとって意味のあることだろう。

いわゆる伝統的な総合広告代理店がインターネット広告を自家薬籠中のものにするために何を考え、どう取り組もうとしているかがうかがえるこの「業界人間ベム」、業界全体にとって有益な試みではないだろうか。ADK インタラクティブの横山隆治氏が書いた「究極のターゲティング—次世代ネット広告テクノロジー」を読んで感じたものが、そのままウェブに引っ越してきた印象を受ける。

究極のターゲティング—次世代ネット広告テクノロジー究極のターゲティング—次世代ネット広告テクノロジー
横山 隆治

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#この本、ストレートに「行動ターゲティング」という語句を書名に入れるだけで、もっと評価された/売れたのではないかと思うのだけど……


こまかいことをいうと、文中に機種依存文字の「まるいち」「まるに」などが使われているためMac OS で閲覧すると別の文字に化けていて、根っからインターネットの人ではないのだな、と思わされるが、そこは愛嬌というものか(O駄さん、機会があればお伝えいただきたく)。

機種依存文字による文字化け

今後も「業界人間ベム」たちに期待したい。

2008/01/17

Yahoo! or Ya-Hoo?

Yahoo! ならぬ「Ya-Hoo! 」というブランドをご存じだろうか? すわパクリか、と思えばさにあらず、1944年からテキサス州で営業をつづけてきた由緒あるパンの製造元なのだそうで。インターネットの波には乗り遅れてYahooBakingCo.com なるドメインでサイトを運営しているが、写真を見る限り、どの商品も悪くなさそうだ。(経由:Search Engine Land )。



Yahoo! とYa-Hoo! は末尾の感嘆符まで含めてよく似ており(両社を分かつのはハイフンのみ)、実際のところCNET によれば、1996年から1997年にかけて両社の間で商標に関して争われていたそうだ。寡聞にして知らなかったが、和解に至った後、Ya-Hoo! はYahoo! に広告を出稿し(ややこしい……)、Web サイトでケーキの注文を獲得したりしていたとのこと。

#このネタと直接の関係はないが、米Yahoo! Inc. のSunnyvale 本社に併設されたスポーツジムの受付に「Ya Who? (あなた誰?)」と掲げられていたことを思い出した。

2008/01/02

Yahoo! JAPAN のトップページ刷新とブラウザ判別

かねてから予告されていたとおり、2008年1月1日にYahoo! JAPAN のトップページがリニューアルされた。基準となる横幅の拡大と、2カラム(列)から3カラムへの変更、Ajax によるインタラクティブなコンテンツの表示などが一般的なポイントであろう。業界的には、サービス開始以来のこだわりであったディレクトリー部分の非表示、バナー広告の大型化などが目につくが、
検索窓を大きくし目立たせることで、キーワードを入力しやすくして検索の利便性を高めました
という点もおさえておきたい。冬休みが終わって通常の生活/ビジネスに復帰したところで、検索動向(ボリューム、検索種別など)にどのような変化が出るか、要注目。

Yahoo! JAPAN 新年ロゴにも注目

さて、このリニューアルに関して「ブラウザ判定(しかもダメダメ)しているYahoo! Japan - WebStudio」というエントリーがはてなブックマークの人気エントリーにあがっている。ブックマークコメントで「あー、確かにcaminoだと簡易版になってる」とあったので確認してみたところ、確かに以下のような簡易版のページが表示された。



Camino はFirefox と同じ「Gecko 」レンダリングエンジンを用いつつ、Mac OS X に特化し、美しいユーザーインターフェースを実現したWeb ブラウザ。現在のバージョンは1.5.4 で、特にβ版という訳でもないため、これがはじかれてしまうとすれば残念ではある。念のため、Yahoo! JAPAN が公表している推奨環境は以下のとおり:
  • 新しいYahoo! JAPANトップページをご利用可能な環境は、次のとおりです。
    Windows
    * Internet Explorer 5.5以上、6.x、7.x
    * Firefox 2.0以上
    Macintosh
    * Safari 2.x
  • JavaScriptが無効に設定されていると、新しいトップページの機能の一部をご利用いただけません。



#謹賀新年。久しぶりのサイトの副題に合ったトピックで2008年をスタート。本年もよろしく。