この調査はB to B (対企業)のマーケティングに従事するマーケター462人を対象として、2007年の第3四半期に実施したもの。企業規模や業種、回答者の職位など属性はまちまちで、全体のマーケティング予算を把握していない、と答えた人が15%いるなど、ちょっと首をかしげるようなところもある。ただ、B to C (対消費者)のマーケティングに比べて情報の少ないこの分野の傾向を見るにはよいのではないか。
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まずは実施しているマーケティング手法を聞いたのがこの図。メールやPublic Relations (広報)についで「Tradeshows (展示会)」が上位に入っている点はいかにもB to B っぽい。ダイレクトメール、紙媒体への広告出稿とつづき、Search Marketing は実施率61%で6番目に入っている。
ちなみに今後の予算の増減について聞いたところ(14ページ)、もっとも増額意向が高かったのは「Online Video, Podcasts, or Rich Media」で56%、ついで「Search Marketing 」に対して55%が予算を増やすと答えている(そのまま、が41%、減らすと答えたのは4%)。利用率が相対的に高く、かつ増額の方針ということは、B to B においてもある程度Search Marketing の満足度の高いことがうかがえる。
目的別の有効度評価
上記はある意味、想定の範囲内。むしろ興味深かったのは以下の3つのグラフだ。目的別に、有効と思われるマーケティング手法を回答させたもので、横軸が実施率(つまり、上掲のグラフを横軸に展開している)、縦軸が「有効である」と回答した率である。横方向の位置関係は3枚とも共通であるため、それぞれが上下する様子に注目してほしい。
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リード獲得に有効な手法
まず「リードを獲得する」場合。「Executive breakfasts, seminars 」つまり、上級管理職/決済権限者を対象とした、商談をしながらの朝食や少人数制のセミナーなどの評価が高い。その他、「Inside Sales (内勤営業。テレマーケティングなどのイメージ)」「Webinars (オンラインセミナー)」「Search Marketing 」とつづく。
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メッセージを伝えるために有効な手法
「メッセージを伝える」ということを目的にする場合には、メールと、先ほどの「Executive breakfasts, seminars 」が高い評価を得ている。
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ブランド認知の向上に有効な手法
そして「ブランド認知を高める」のが目的の場合には、「TV Advertising (テレビ広告)」の評価がいきなり跳ねあがる。実施率こそ低いものの、実施した企業はブランディングに関するテレビ広告の効果を高く評価していることがわかる。またPublic Relations (広報)も60%近い評価を得ており、こちらもブランド認知の向上に寄与すると考えられている。
#広告枠の頭に「PR 」とつけるのが横行しているが、当然ながら広告と広報は別物である。アピールとピーアールの語感が似ているのをよいことに混同させようとしているのかもしれないが、広報サイドから見ると迷惑きわまりない話だろう。
このように、目的によってそれぞれの手法の効果は異なっており、自社の目的とその優先順位を意識した上で、予算なども勘案しつつ必要な手法を組み合わせることが重要といえそうだ。なんとなく感じていたことがデータで示されてすっきりした感じではないだろうか。またB to B のマーケティングにおいて「効果が高い」と評価されている手法は、消費者向けのマーケティングのように広告一辺倒でないことも理解しておきたい。
昨今の「広告か、広報か」のような議論も、対象(B or C )、何を売るのか(サービス or 商品 or ...。ハードウェアを売っていると見せて実は導入コンサル料やその後の保守費用で稼ぐ、などもありがち)やその新規性、価格、購買頻度、市場の成熟度、などを踏まえる必要があるように感じられる。
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