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2013/10/09

たかが6ピクセル、されど6ピクセル

少しだけ、検索窓と広告売上に関する話題など。

まずはこちらの「“6ピクセルの違い”が広告収入を4億円以上変えた--ビッグデータ解析の可能性」と題された記事から2か所ほど引用する。
検索窓の位置たった6ピクセル違っただけで、広告収入が4億8000万円変わる──10月8日、大阪で開催している「B Dash Camp 2013 Fall in Osaka」の最初のセッションで、こんな発言が飛び出した。
橋本氏によると、実はYahoo! Japanのトップページでは、検索窓の高さについて、膨大な回数のA/Bテストを実施しているのだという。そこでは高さを22ピクセルから28ピクセルに変えたところ、広告のクリック率が0.64%向上した。
*いずれも強調は筆者

特にリード部分がしっくり来なくて本文ともども読み返してみたのだが、まずこれは検索窓の「位置」ではなく「高さ」の話のようだ。また「たった6ピクセル」とあるが、22ピクセルから28ピクセルへの変更は高さを1.27倍にするという話であり、それなりに指標に違いが出ても不思議はないといえる。

また「広告のクリック率が0.64%向上」という表現の気持ち悪さ(率の変化をさらに率で表記)はさておき、このUI変更は主に検索数の増加につながるものと想定され、広告のクリック率への大きな影響は考えにくい。なんだろうこれはと思って少し調べてみると、以前に同じCNET に掲載されたインタビュー記事「ヤフー流のマルチビッグデータ戦略--データ統括責任者に聞く」に、本件に関する当事者からの言及があった。
これだけ小さな変化でも検索連動型広告の売上げが0.64%(この当時で4億8000万円)上がるなど、大きな影響があるのだという。
*クリックで拡大画像(CNET)へ移動

あくまで最終的な広告売上の変化率が+0.64%だったということであり、広告のクリック率が向上したという話ではないようだ。冒頭の記事においては、改善の実施主体と語り手と記者が異なることにより、伝言ゲームのように変化してしまったのかもしれない。

#本筋ではないが、上記スライドにおける検索キーワードは左右で同じものを使用すべきではないかと。

広告掲載媒体や広告配信プラットフォームが売上を増加させるために気にかける指標とその改善のための打ち手は、広告主/代理店の立場からはなかなか見えにくい。その一端が開示されたという意味で、興味深い事例ではあったかと思われる。

#業界的には先般、検索結果ページ上部の広告掲載本数を5本にし、かつ行間を広げてファーストビュー/Above the fold を広告のみにしたことの売上への影響なんかがより興味を引くところだろうけれど、これは開示されないだろうなあ……(といっている間に9月が終わって4本に戻したようだ。うわ何をするやm

2009/07/25

「スポンサーサイト」→「スポンサードサーチ」

Yahoo! JAPAN の検索結果ページにおいて、以前は「スポンサーサイト」と表記されていた検索連動型広告部分のラベルが「スポンサードサーチ」に変更されている。今回の変更により、オーバーチュアのサービス名称である「スポンサードサーチ」の認知度向上が予想される。



なお、米Yahoo! の検索結果においては「SPONSOR RESULTS」の表記のままであり、変更は行われていない。またGoogle の検索結果ページでは、日本向けは「スポンサーリンク」、Google.com in English では「Sponsored Links」となっている。

2008/09/04

検索とエコと広告

検索をめぐるあれこれを考えるのにちょうどよい事例が見つかったので、つらつらと書いてみよう。「欧州の視点」の「グリーン検索あれこれ」というエントリーから。
検索でエコ活動に貢献しようというドイツベースのNPO、Forestle.org のグリーン検索が、開始後まもなく行き詰っている。

Googleの検索サービスを利用して、ユーザーによるスポンサーリンクのクリックから得た収益を熱帯雨林維持活動にあてようというサービス。 Forestleで1回検索すると、0.1平方メートルの熱帯雨林を救うとあり、現在29273.2平方メートルを救ったとサイトに書かれているが、 Googleが「人工的にスポンサーリンクをクリックさせることを奨励している」として提携を解消したようだ。
これはGoogle の対応が正しい。検索1回あたりの広告収益を事前に確定させることはできないため、「1回検索すると、0.1平方メートルの熱帯雨林を救う」というようにうたうことは本来、望ましいこととはいえない(ざっくり見積もることはもちろんできるが)。

この数字を目標どおりに達成するためには、必要額が得られなかったときの広告以外の収益による補填の方法をあらかじめ定めるか、もしくは広告のクリックを(明示的であれ暗示的であれ)促すしかないわけで。この場合、同じようなモデルの「緑のgoo 」がとったように、「収益のうち決まった割合を寄付」といった形が無理のないやり方だといえる。

ちなみに現在、実際にForestle で検索してみると、以下のような凄まじいメッセージが表示される。ひどいねこりゃ。



Forestle が当面の代替としてすすめている「Znout」がまたなんというか……環境に配慮したサーバーを利用している、などはよいのだが、デザインテンプレートが同一で手抜き感がただようのに加え、「Our black background lets you save up to 30% energy while searching the web. (黒の背景色により、検索時のエネルギー消費を30%削減できます)」というのはいかがなものか。大元の検索エンジンがWeb をクロールしてインデックスし、検索のリクエストにこたえるまでの、すべてのプロセスにおいて消費されているエネルギーの総量から見たときに、それはどのくらいのモノなのか。狭いなあ。



#背景色を黒に、というのはBlackle のアイデアだったと記憶しているが、それも登場時にその有効性について激しい議論があったような。

ちなみにご本尊のGoogle では、Google.org の中で再生可能エネルギーの研究を進めている。レイヤーがいくつも下のところから解決策を探しにゆくGoogle の姿勢には驚かされることが多いが、これもそのひとつ。ものごとの進め方については強引なところが気になり、同意しかねることも多いが、このエネルギーに関する取り組みについては素直に賞賛してよいのではないか。

*その他、本件と直接関係しないが示唆に富む記事:
 Greenseng:グリーンな検索エンジンは、実際に省エネ効果がある (TechCrunch)


検索をめぐるエコシステム(生態系)

ついでなのでちょっとマジメな話。広告配信プラットフォームとしてのGoogle(や同業他社)の役割は「インターネットユーザーと広告主を適切に結びつけること」であり、関係者は以下のように整理できる。

インターネットユーザー
↑↓
広告掲載サイト
↑↓
Google(広告配信プラットフォーム)
↑↓
広告代理店
↑↓
広告主


広告代理店を通さず直接出稿することも可能であり、またGoogle において検索が発生した際には広告掲載サイト=Google となるが、ここでは分けてある。

ポイントは、いわゆる検索連動型広告をめぐってこれだけの利害関係者が存在し、広告配信プラットフォームを仲立ちにしてつながっている、という点にある。従って特定のプレイヤー、例えば広告主だけがメリットを享受するような運営をしたのでは、この生態系の中で他者が圧迫されることになり、ひいてはエコシステム全体が存続の危機に瀕しかねない。

これは広告掲載サイトについても同様であり、今回のForestle のふるまいはこの全体像を理解していないがために発生したものと推測される。

2008/03/08

adCenter Add-in Beta for Excel 2007

Search Marketing Expo 2008 West (SMX West) で見つけた小ネタその1。

adCenter Add-in for Excel 2007 のチラシ

SMX West が開催された3日間のうち、2日目と3日目には各社による展示も行われた。Microsoft のブースはLive Search とDigital Advertising Solusions の2つを前面に打ち出して構成。その中に"adCenter Add-in Beta for Excel 2007" なるもののチラシが置かれていた。宿に戻って調べてみると、これが意外に面白い。

名前のとおり、基本的にはMicrosoft Excel 2007 に組み込んで使う、adCenter を管理・運用するためのツール。64MB もの容量のzip ファイルをダウンロードする必要があるが、以下に紹介するとおり機能面は予想以上に多彩だ。Add-in を入れると次のようなボタンがExcel に追加される。

adCenter Add-in で追加されるボタン

これらをいかに使うか、について分かりやすいデモが用意されている。Overview はスキップして、Keyword Suggestion とKeyword Monetization 、Keyword Forecasting を眺めてからKeyword Wizard を見ると理解しやすいのではないかと思う。ちなみにKeyword Monetization の画面はこんな感じ。

Keyword Monetization を説明するデモ

参考までに、仕様を説明したPDF ファイルによれば、機能として提供されるのは以下の内容となっている(括弧内はボタンを押すと出てくるサブメニュー)。
  • Keyword Wizard
  • Keyword Extraction
  • Keyword Suggestion (Campaign Association/Contained/Similarity)
  • Search Buzz (Top Spiky Keywords/Top Frequent keywords)
  • Monthly Traffic (Monthly Traffic/Daily Traffic)
  • Keywords Categorization
  • Geographic
  • Demographic
  • Monetization (Monetization/Vertical KPIs)
  • Advanced Algorithm
  • Options


筆者の環境ではこのAdd-in を入れることができないため実際に試しての感想ではない(おそらく現時点では日本語も通らないものと思われる)が、この「adCenter Add-in for Excel 2007」、自社の強みであるOffice Suite のシェアをうまく活かした興味深い取り組みではないか。Google のAdWords Editor のように実用に徹したツールともまたひと味ちがった面白さがある。

#adCenter は日本でのサービスが始まっていないためノーマークの人も多いと思うが、機能的にはYahoo! Search Marketing はおろかGoogle AdWords をも上回るのではないか、と業界筋ではいわれている。とはいえ、有力な広告配信先と広告主を確保できなければ宝の持ち腐れであり、それが現在のYahoo! への……ゲホゲホ(以下略

*関連するエントリー: