2008/02/05

インターネットユーザーの時間を値付けする

#業界騒然の、現在進行中の例の件について考える際の材料にしていただければ、と。

たいへん興味深い「Grabbing Those Valuable Search Minutes」なる記事がeMarketer にアップされている。



まずはこちらの図。ユーザーがインターネット上で過ごす時間のうち、検索結果ページに接触しているのはわずか4.6%に過ぎず、しかもその割合は年々低下している。それ以外の時間、ユーザーはコンテンツを閲覧したり、コミュニケーションをとったり買い物をしたりしている。検索、検索と騒がれているが、検索している時間は実際のところせいぜいこのぐらいだったりするわけだ。

考えてみれば当たり前のことで、もともとユーザーは自分が必要な情報を得るなり、特定の場にアクセスして交流することを目的としており、検索はそのための手段に過ぎない。言い方を変えると、ユーザーは別に検索という行為そのものを目的としている訳ではない。従って、ユーザーがインターネット上で過ごす時間の中で、検索に接しているのは20分の1にも満たないごくわずかの時間ということになる。



ところが、広告主がユーザーとの接触を求めて広告費を投下する時間区分、という観点で見ると、「検索している時間」に対しては2007年で1時間あたり5.07米ドルが投じられている。かたや、「コンテンツを閲覧している時間」に対しては1時間あたり0.49米ドル。つまり、同じ1時間に対して広告主は10倍以上の価値の差を感じていることになる。

この数字からは、ユーザーの興味・関心が顕在化し、かつその内容を検索キーワードを通じて容易に把握可能な「検索」という場の価値がうかがえる。そして、この場に広告の考え方を持ち込んだビジネスモデルの秀逸さと、その価値ある場を押さえているプレイヤーの強さが浮かび上がってくるだろう。しかも上掲の図は、この検索という場の価値が2006年から2007年にかけてさらに上昇したことを示している。

こういった現状把握をベースに、今後の業界勢力図を考えてみるのは面白いのではないか。

あくまで、この価値ある「検索」という場の奪い合いを続けるのか。それとも、マネタイズ(収益化)が十分でないとも解釈しうるコンテンツ閲覧やコミュニケーションの時間をいかに収益化するか、という点にフォーカスするのか。もちろん単価が低くても、コンテンツ閲覧に費やすユーザーの膨大な時間を自社の陣営に集約することができれば、それは十分な収益源となるだろう。

*もちろん、現在の検索のあり方が完成形でない以上、いまある検索よりもユーザーの期待に応えるものを実現できれば、こういったレースの前提が変わってしまうことは言うまでもない。

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