2012/10/09

あなたはまだ粗悪な社団法人を設立しますか?

9月28日付けの「社団法人日本WEBライティング協会が発足しました 」というばらまきリリース(魚拓)が、いい感じに冒頭からかましてくれる。
あなたはまだ粗悪なウェブサイトを作成しますか?(社)日本WEBライティング協会では「ウェブを良くしよう!」を合い言葉に効果的で適切はウェブライティング方法の研究、普及と啓蒙を目的としてサービスを開始いたします。
……この2文から構成される105文字に対して、Webライティング以前の一般的な文章作法の観点から、ほぼ同じ文字量で3点ほど指摘したい。
冒頭から直訳調なのはなぜ? また疑問符「?」の後に文章を続ける場合にはこのように全角スペースを入れることをおすすめする(*参照)。そして、「効果的で適切ウェブライティング方法」ってアナタ……
#あとこれは好みだけど、「啓蒙」は「啓発」と言い換えるケースが多いかなあ、最近。

ついでなのでこの「日本WEBライティング協会」のWebサイトものぞいてみた。


前々回のエントリー「どちらの社団法人か明らかにしない人たち」の公開が9月24日。そこから突貫で直したのだろうか、titleタグやテキスト部分はおおむね「一般社団法人」と表記されているが、画像の一部は間に合わなかったようで。
*「一般社団法人」の略称は(社)ではなく(一社)

ちなみに「日本WEBライティング協会」の代表は、みんなが大好きなあの団体の「公認アソシエートコンサルタント」(魚拓)なのだとか。なるほどなるほど(棒

とりあえず筆者としては、奇しくも同じ9月28日に更新された住太陽師の誠実なエントリー「Webライティングとは」のほうを皆さまへおすすめしたい。そのうち京都あたりで「日本Webライディング協会」が設立されないかなあ。そっちは入会を検討するかもw

2012/10/01

「ブログ名の設定は、まだ。」へのSLAPP(スラップ)

*2013年12月29日 変更・追記:
2013年11月、東京地裁の勧告のもと当事者間の和解が成立したとのこと。これを受け、当事者に関する記述を削除した。


スラップといっても、少し前に話題になったGoogle Slaps(グーグル スラップ)の話ではなく、"Strategic Lawsuit Against Public Participation" の頭文字をとって「SLAPP」。直訳すると「市民の関与を排除するための戦術的訴訟」だろうか。オリコンからの訴訟を33か月にわたって戦い抜き、請求放棄を勝ち取った烏賀陽弘道さんのサイトでは以下のように解説されている
SLAPPとは何か:
「批判者封じを目的に起こされるいやがらせ訴訟。強者が弱者を相手に民事訴訟を起こす形が多い」
#まれに「スラップ訴訟」と略記されるが、「訴訟」はSLAPP のL(=Lawsuit)に含まれるため、単に「スラップ」と書くのが語源的には正しい(はず)。このあたりは「SEO対策」という表現とも似たものがある。

(削除部分)

最後に参考として、東洋経済オンラインの以下の記事を挙げておく。タイトルがすべてだと思う。

2012/09/21

どちらの社団法人か明らかにしない人たち

要は、2012年にもなって「社団法人」とだけ書くのは何らかの意図があってのことだよね、という話。業界雀たちの間で人気のアレに言及するので、以下のエントリーを未見の方は先に目を通しておいてほしい。

一般社団法人と公益社団法人

詳細はWikipedia あたりにゆずるが、いわゆる社団法人にはざっくり2種類ある。公益法人認定法に基づき公益性を認定された「公益社団法人」と、一定の要件を満たしていれば誰でも設立でき、事業目的に公益性を必要としない「一般社団法人」だ。後者の中には実態として株式会社と変わらないものも存在する。

以前に存在した「社団法人」は公益のためのものであり、この設立に際しては主務官庁の許可が必要であった。今でも社団法人と聞くと何やら理念のあるきちんとした団体のように感じられるのはそのためだ。しかし、実際には公益法人制度の改革によって2008年12月に上記の形に改められており、まもなく4年が経とうとしている。

全日本LPO協会なる団体

さて。2008年12月以降に届け出て「一般社団法人」の認証を受けたにも関わらず「社団法人」を強調する人たちが散見されるのだが、その狙いは何だろうか。例えば「社団法人全日本LPO協会」と称する団体がある。

#リンクはしないので、興味のある方はご自身で検索していただきたい。

フッターの「特定商取引に基づく表記」(*原文ママ)から確認すると予想どおり一般社団法人であることがわかるが、見てのとおり、ロゴから何から「社団法人」を連呼。トップページでの「社団法人」表記は画像やフラッシュ内も含めると実に15回に上る。

気になる設立年月についてはサイトに記載されていないが、同じ穴の全日本SEO協会 会員紹介ページ(魚拓)によれば、2009年8月とのこと。つまり設立当初から一般社団法人であったことが分かる。

正しく「一般社団法人全日本LPO協会」と記載するか、もしくは「全日本LPO協会」でよいと思うが、そうせずにあえて「社団法人」を名乗る理由は何だろうか。筆者には、公益性を持ったかつての社団法人と誤認させる目的以外には考えつかないのだが。あえて「詐称」とまでは言わないが、関係者たちの品性がよく表れた話だとは思う。

あの全日本SEO協会も

あれこれ調べる過程で、全日本SEO協会も同様に「社団法人」を冠していることが判明した。

これも同じく一般社団法人である。以前に取り上げた2008年6月当時のキャプチャには「社団法人」の記載は見当たらず、2008年12月時点の「全日本SEO協会について -> 会社概要」(Internet Archive) には運営主体として代表者の経営する企業名が記載されている。よってこちらも2008年12月以降に一般社団法人として登記されたものと推測される。

全日本SEO協会は公式サイトの委託先が作成した「お客様の声」(魚拓)の中で、以下のように語っている。

(株式会社ではなく社団法人として事業を行なう理由)

協会を設立した当時、SEO業界は、高額な料金を払える一部の人たちだけに絶大な成果が与えられる情況でした。(中略)沢山の会員を集めSEO成功のためのサービスを低価格で提供するために、より公共性を追求するために社団法人として事業を開始しました。

これは事実に即しているだろうか。

とりあえずの結論みたいなもの

「一般社団法人」は一定の要件を満たせば誰でも設立が可能であり、実態として株式会社と同様のものも存在する。公益のために設立されたかつての社団法人に相当するものは、現在では「公益社団法人」と呼ばれる。

上掲のように「社団法人」を連呼する手合いや、営利事業を行っているようにしか見えない「社団法人」から売り込みを受けたり紹介された場合には、「公益社団法人ですか? 一般社団法人ですか?」と聞いてみよう。

参考

ちなみに、かつての社団法人は新制度の施行から5年以内(2013年12月まで)に公益社団法人と一般社団法人のいずれに移行するかを選択する必要があり、例えば日本アドバタイザー協会やACジャパン、日本マーケティング協会などは公益社団法人へ、日本マーケティングリサーチ協会は一般社団法人への移行を完了している。


まっとうな団体が常識の範囲で記載するとこうなる、というサンプルとして上げておく。