2016/03/13

DYM - スッポンポンサーチ正規代理店(3つ星)

株式会社DYM に所属する数十名がタイの高級リゾート地「ホアヒン(フアヒン)」で全裸となり、国際的な騒動となったのは既にテレビや新聞を含む多数のメディアで報じられたとおり(*参照1参照2)。言うまでもないが、公衆の面前で全裸となることはタイにおいても日本と同様の犯罪行為であり、
“現地警察により公然わいせつで訴追される可能性があったものの、既に社員らは出国しているため、行うことが出来ないとしている。しかし、既に社員リストは入手しており、次回入国時に聴取を受けるか、場合により逮捕される可能性もある” *ソース
とのこと。

この件に関しては、「SEO の神」と呼ばれ、最近では「火の神」とも畏れられる辻正浩氏が当初から言及しており、一連のツイートがまとめられている。
DYMの悪評をソーシャル上に書くと、会社員なら社長にクレーム電話/フリーなら弁護士連絡という噂

DYM のタイにおける破廉恥行為が日本と日本人の評価を著しく低からしめるものであったのは間違いない。ただし上掲のリンクからもうかがえるとおり、質の低い外部リンク中心のSEO や「風評被害対策」など、DYM の事業内容が限りなくブラックに近いダークグレーであったことのほうが、中長期にわたる日本のデジタルマーケティングに対する大きな害悪であったともいえる。

ところでこの株式会社DYM が、Yahoo! JAPAN(ヤフー株式会社)の提供する「Yahoo!マーケティングソリューション正規代理店」に認定されており、かつ上位の代理店にのみ付与される3つ星を受けていることは、インターネット広告業界においてどのくらい認知されているだろうか。


もともと株式会社DYM のWebサイトは関連検索に対するスパムによって2010年にYahoo!検索のインデックスから除外されており(*参照: ヤフー、「虫眼鏡SEO」業者に制裁措置、インデックスから削除)、現在までその措置は継続されている。具体的には、当時DYM がWebサイトに用いており、社員のメールアドレスには現在まで利用している「dym.jp」での検索結果をYahoo!検索とその検索エンジン提供元であるGoogle とで比較してみると一目瞭然である。

 

なぜにヤフー株式会社は、自社の検索事業に害をなすものとして検索インデックスからの除外を決めたような悪質な事業者に対して、広告事業の代理店として認定を与えたのだろうか。確認できた範囲で、おそらく2013年6月あたりに代理店としての認定を受けたようだが……



広告主やメディアのビジネスとインターネットユーザーの利便性を支え、多くの利害関係者を抱えるインターネット広告配信プラットフォームにおいては、誰をエコシステム(生態系)に招き入れるのか、プラットフォームが慎重に吟味し判断する必要がある。プラットフォームに携わるビジネスパーソンには高度な倫理観が要求され、自身の利益を最優先に求めるあまりに「黒い猫でも、白い猫でも、鼠を捕るのが良い猫だ」(鄧小平)と考えてはならないことをあらためて肝に命じていただきたい。いや頼むよほんと。

2016/02/18

調査結果の利用に見る日米の違い

EcommerceBytes から「Sellers Choice 2016」が発表されている。これはOnline Marketplace をSeller(売り手)の立場から評価するもので、今回が7回目。評価基準としてはprofitability、customer service、communication、ease of use、recommendation の5項目があり、これらをもとに最終的な順位が決定される。


今回の首位はeBayで、特にprofitability が高く評価されている。ただし2位のEtsy との総合点における差は0.02ポイントであり、上位5位までが0.17ポイントの範囲に収まっている。全7回の推移を見ると、ここ5回は上位の顔ぶれが固定されていること、またその中での変動が激しいことが分かる(eBay とRuby Lane はロゴが変更されていることに注意)。

*出典:EcommerceBytes Blog

さて、今回は5位となったBonanzaのサイトを見ていておもしろいものを見つけたのでメモ。ページ左上、「Sell on Bonanza」を押すと表示されるのが新規Seller 獲得のためのこちらのページ。Sellers Choice を構成する5項目のうちrecommendation だけを用いて、特定の競合に対する優位性を訴求する内容となっている。


このように特定の項目だけを抜き出したり他社と比較するといった利用法は、日本だと調査の実施元が許諾しないことが多いはず。日本国内で実施される顧客満足度調査の受賞ロゴ利用規程をいくつか読んだことがあるが、利用する際の表現などにはかなりの縛りがかけられていたことを記憶している。

またこのページのURL は「http://www.bonanza.com/ebay_alternative」で、リンク元となるナビゲーション内の文言(Sell on Bonanza)とはまったく無関係なのもある意味おもしろい。他社との比較広告が珍しくない米国とはいえ、こういった攻撃的な打ち出しには文化の違いを強く感じさせられた。

2015/03/09

大きなミスほど見逃されやすい、の例( #Googleセキュリティ月間 から)

すっかり乗り遅れたが、先月(2015年2月)の前半、Google の公式Twitter アカウントが、オンラインで安全に過ごすための一般的な注意点を紹介する「Googleセキュリティ月間」なる取り組みを行っていた。セキュリティに関する問題を画像付きで出題し、追ってその答えを解説するというスタイルだったが、その2日目にちょっとしたミスがあったとのこと。こちらのエントリー(↓)にうまくまとめられている。

Google Japan 公式 Twitter、セキュリティ月間で問題を出すも、正解とは別のところで突っ込まれる | WWW WATCH

要約すると、
  • 本来の出題意図は「本物と見間違いやすいURLにご注意を」というもの
  • しかしURLの先頭が「http://」ではなく「http//:」になっていたため総つっこみを受ける
  • 気を取り直して、修正した画像にて再出題
という流れ。 気を取り直した後の「正しい」画像はこちら:
解答はこちら:
URL の確認が重要であることに異論はないが、米国国旗の星の数よりもっと大きなつっこみどころがあることに読者諸賢は気づかれただろうか? それはここ:


……外貨預金なのに、なぜ日本円が対象になっているのか。しかも筆頭。計算してつっこみどころを入れたのならすごいが、まあ違うだろうなあ。
(*参考:画像検索「外貨預金」

筆者の経験上も、雑誌のゲラを確認する際、見出しなど目立つところほどミスが発見しにくかったりしたが、今回の事象も同じようなことかと推測する。まあ取り組みとしては有意義だし、それなりに面白いものだとも感じたので、これにめげずがんばっていただきたい。

2013/12/12

リトルミィbot → 赤猫リブ・リビィは石黒謙吾氏の仕込み

先のエントリー「リトルミイはそんなこと言ってない(あるいは、赤猫リブ・リビィなる人物の挙動について)」において、筆者は以下のように書いた。
とりあえず扶桑社の書籍編集部と石黒謙吾氏は事前に本件を把握できなかったのだろうか。
なにぶん不勉強なもので、本件のからみで調べるまで石黒謙吾という人物については知らなかったというのが正直なところ。今は後悔している(悔いーる)。で、先のエントリーを書いた後、石黒氏のTwitter アカウント(@ishiguro_kengo)に反応を見に行ったところ、12月10日時点で以下のツイートがRT されていた。




おや? その関係性は編集者の立場として世に広めてかまわないものと考えているのだろうか、という疑問が浮かぶ。で、Twilog で過去のやり取りが見つからないかと探してみて、掘り当てたのが以下の3ツイート。

石黒氏から@little_my へのツイート





このうち1番目と3番目については削除されたのか、ツイートの埋め込みができないため、以下に3つともテキストで張り付けておく。日付は2013年3月23日。メールアドレスのみ一部文字列を削除。
@little_my はじめまして。書籍をプロデュース&編集している、石黒謙吾と申します。あまりに素晴らしいツイート見ていまして、非公式botと知りつつ、書籍化へのご相談をさせていたけないかと思いまして。リトルミィの版権できついのはよくわかってはいますが、策はありまして(続)
posted at 02:49:38

@little_my ぜひ一度ご相談できないかと思いまして。よろしければ、以下アドレスまでひとことで結構ですのでご連絡頂ければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
posted at 02:51:27

@little_my アドレスです。(略)@blueorange.co.jp 今までやった仕事はこんな感じです。http://www.blueorange.co.jp/blog/books
posted at 02:56:47
リトルミィの版権できついのはよくわかってはいますが、策はありまして」……なーるーほーどー(棒 どうやら石黒謙吾氏からのアプローチがあって、偽リトルミイが赤猫リブ・リビィに化けたということらしい。

書籍の紹介記事からあらためて引用するが、
この本をプロデュースした著述家で編集者の石黒謙吾氏は、やはりTwitterを通して「赤猫リブ・リビィ」の存在を知り、
これは事実に即しているだろうか。また、同じ記事に、
この本は、ツイッターで10万人以上のフォロワーを集める「赤猫リブ・リビィ」のつぶやきを書籍化したもの
とあるとおり、Twitter でのフォロワー数がこの書籍におけるひとつの売りになっている。しかしそのフォロワーは、トーベ・ヤンソンの原作に存在しない言葉をリトルミイの名言と偽り、アイコンや背景画像までリトルミイの姿形を無断借用することで信じ込ませて獲得したものであることを考えると、相当にあざとい印象を受ける。違法行為があったかというとそこまでではないので、あくまでモラルの問題だろうけれど。

せっかくなので最後に、ひとつ「名言」を引用させてもらおう。




それがあなた達の道であるならば、こちらからこれ以上いうことはない。さようなら。

*12月13日0時26分追記:
「さようなら」とまで書いて追記するのはいかがなものかと思うがご寛恕を。書籍の版元である扶桑社の書籍紹介ページ魚拓)に「ツイッターで大反響を呼び、3か月でフォロワー10万人超!」とあった。これは明白な虚偽であり、優良誤認表示に相当するのではないだろうか。

リトルミイはそんなこと言ってない(あるいは、赤猫リブ・リビィなる人物の挙動について)

数日前から、ムーミンの登場人物であるリトルミイ(ちびのミイ、とも)の名言とうたったNAVER まとめが話題となっている。筆者の友人・知人にも感銘を受けた方が多数いるようだ。

【リトルミイ】胸にグサッと、突き刺さる【名言集】

結論からいうと、これらの「名言」は第三者による創作(?)であり、リトルミイはそんなことは言ってない。そして、この創作を行った人物に奇妙なふるまいが観測されたため、あわせて以下に記述する。

筆者が本件を気にかけるようになったきっかけは、こちらのはてなブックマークコメント
これはtwitterでリトルミィbotやってた人の創作。リトルミィbotの名義で人を集めて、途中から「赤猫リブリビィ」に名義変更して本を出版してる。
ざっと洗ってみた限り、このコメントが指摘する内容は妥当だと思われた。時系列でまとめ直すと以下のようになる。
ポイントとしてはまず、今回のNAVER まとめ中に出典が記載されておらず、また「赤猫リブ・リビィ」へアカウント名を変更する以前に作成されたものであったこと。これにより、当該のNAVER まとめだけを見て実際のリトルミイの名言集であると誤解する人が出るのはやむを得ない部分もある。

#まとめ作成者の0896 氏は今回のアクセス集中でウハウハだろうが、出典を記載しない、など不適切な行為が見受けられ(画像の出元もあやしい)、これが結果として誤った情報を拡散させる原因のひとつとなっている。本件についてNAVER まとめの運営がどのように対応するかは見ものであろう。

またTwitter アカウントの仕組み上、Username を変更してもフォロワーは引き継げる。このため変更後しばらく経つと、どういったふれこみでアカウントを運営していたかは見えなくなってしまう。ただし今回はさすがに無理があったようで、ネット上にその痕跡が残っている。いくつか紹介しよう。










 
今一番楽しみにしていると言っても過言ではないアカウントが、
「with 赤猫 リブ・リビィ」

私がフォローしたときは「Little ME」だったんだけれど、時々名前が変わるんだな・・・。
アイコンも「ムーミンのミィ」でした、確か・・・。
twitterでフォロー|ココロノコンパス

で、2013年9月にはこれらの「言葉」をまとめた書籍が「赤猫リブ・リビィ」名義で出版された、とのこと。紹介記事(毒舌なのに励まされる「赤猫リブ・リビィ」の格言が話題に - ITmedia eBook USER)から一部引用すると、
この本をプロデュースした著述家で編集者の石黒謙吾氏は、やはりTwitterを通して「赤猫リブ・リビィ」の存在を知り、「素晴らしい言葉ばかりだったので、本として残すべきだと思った」と言います
正体が明かされていない「赤猫リブ・リビィ」ですが、石黒さんによると「一般人で、クリエイティブとか言葉を使う仕事とは無縁の人。しかし、自分の人生の中で熟成された言葉を発信していて、読む人にはそれが分かる。だからこそ心に響くんだと思います」
……なのだそうで。「誰が」ではなく「何を」言っているかだけを評価するならばそれでよいと思うが、「どのように」を加味した時に、それが適切かどうかは違った判断になりそうな気がする。とりあえず扶桑社の書籍編集部と石黒謙吾氏は事前に本件を把握できなかったのだろうか。

さて、本エントリーを書き上げた時点での「赤猫リブ・リビィ」の最新ツイートは以下のとおり。なんとも趣き深いように思うのは筆者だけだろうか。ゆっくり休んで、戻ってきたら以前の行為についてぜひご説明いただければと。


*22時37分追記)本エントリーの続編はこちら:
リトルミィbot → 赤猫リブ・リビィは石黒謙吾氏の仕込み

2013/11/07

Search Summit Tokyo 2013 のことなど

10/30(水)に行われた「Search Summit Tokyo 2013」において、SEO セッションのモデレーターを務めた。なにぶんにも初回ということで、SEO とPaid Search それぞれについて1セッションずつ、全体で約2時間のコンパクトな構成となったが、来場者によるレポート等を拝見する限り、おおむね好評であったようだ。来場者、登壇者およびスタッフ各位に感謝したい。

 
渋谷・ヒカリエのサイネージ

筆者自身は実に約1年半ぶりの登壇ということで(挙動不審にならないか等)密かに心配な部分もあったが、なにせパネリスト陣がそれぞれ際立った経験を持つ面々であったため、なんとか形はつけられたように思う。内容については既に充実したレポートがアップされているため(後ろにリンクを付けておく)、今回モデレーターとしてどのような作業を行ったのかを参考として紹介してみよう。

【事前】
  • 来場者属性と、そこに向けて伝えたいメッセージの確認
  • パネリスト各位の立ち位置/キャラクターの確認、それぞれが提供できる材料(トピック)の洗い出し
  • 約束ごとの決定(自己紹介はスライドなしで簡潔に、来場者からの質疑応答は行わない、ツイート/ブログエントリー可、など)
  • セッションの枠組みの設定(今回は俯瞰的な視点から伝えようということで、シンプルに「過去」「現在」「未来」とした)
  • トピックから具体的な質問への落とし込み
  • スライド化

【当日】
  • 直前の登壇者間での最終確認・調整
  • 進行(セッションの意図の説明、パネリストからのコメントの補足や明確化、時間管理など)

裏話を少しだけ記すと、渡辺さんと辻さんが師弟関係にあるためキャラクター分けに苦心しただとか、私からの質問案の提出が遅れてパネリスト陣が不安に陥っただとか(申し訳ない!)、事前打ち合わせに訪れた某社タワーでやんちゃな写真を撮らせてもらっただとか、辻さんに「光」があたるよう壇上の並び順を工夫しただとか……


本イベントは来年以降、よりパワーアップした形での開催が検討されているようだ。個人的には、1日(終日)でSEO とPaid Search の2トラックが走るような形がボリューム的に妥当なのではないかと思う。また大阪や福岡などでの開催が実現すれば、それぞれに地域性が出て面白いものになるだろうと期待される。


来場者によるレポート:

登壇者によるエントリー:

2013/10/09

たかが6ピクセル、されど6ピクセル

少しだけ、検索窓と広告売上に関する話題など。

まずはこちらの「“6ピクセルの違い”が広告収入を4億円以上変えた--ビッグデータ解析の可能性」と題された記事から2か所ほど引用する。
検索窓の位置たった6ピクセル違っただけで、広告収入が4億8000万円変わる──10月8日、大阪で開催している「B Dash Camp 2013 Fall in Osaka」の最初のセッションで、こんな発言が飛び出した。
橋本氏によると、実はYahoo! Japanのトップページでは、検索窓の高さについて、膨大な回数のA/Bテストを実施しているのだという。そこでは高さを22ピクセルから28ピクセルに変えたところ、広告のクリック率が0.64%向上した。
*いずれも強調は筆者

特にリード部分がしっくり来なくて本文ともども読み返してみたのだが、まずこれは検索窓の「位置」ではなく「高さ」の話のようだ。また「たった6ピクセル」とあるが、22ピクセルから28ピクセルへの変更は高さを1.27倍にするという話であり、それなりに指標に違いが出ても不思議はないといえる。

また「広告のクリック率が0.64%向上」という表現の気持ち悪さ(率の変化をさらに率で表記)はさておき、このUI変更は主に検索数の増加につながるものと想定され、広告のクリック率への大きな影響は考えにくい。なんだろうこれはと思って少し調べてみると、以前に同じCNET に掲載されたインタビュー記事「ヤフー流のマルチビッグデータ戦略--データ統括責任者に聞く」に、本件に関する当事者からの言及があった。
これだけ小さな変化でも検索連動型広告の売上げが0.64%(この当時で4億8000万円)上がるなど、大きな影響があるのだという。
*クリックで拡大画像(CNET)へ移動

あくまで最終的な広告売上の変化率が+0.64%だったということであり、広告のクリック率が向上したという話ではないようだ。冒頭の記事においては、改善の実施主体と語り手と記者が異なることにより、伝言ゲームのように変化してしまったのかもしれない。

#本筋ではないが、上記スライドにおける検索キーワードは左右で同じものを使用すべきではないかと。

広告掲載媒体や広告配信プラットフォームが売上を増加させるために気にかける指標とその改善のための打ち手は、広告主/代理店の立場からはなかなか見えにくい。その一端が開示されたという意味で、興味深い事例ではあったかと思われる。

#業界的には先般、検索結果ページ上部の広告掲載本数を5本にし、かつ行間を広げてファーストビュー/Above the fold を広告のみにしたことの売上への影響なんかがより興味を引くところだろうけれど、これは開示されないだろうなあ……(といっている間に9月が終わって4本に戻したようだ。うわ何をするやm

2013/09/27

「SEO の神様」とゆかいな下僕たち

このところ元上長から祀り上げられっぱなしSEO の神様こと辻正浩さん。そんな彼がつぶやいた何気ないひとことが呼んだ波紋を、ツイート埋め込みの実験もかねてまとめてみる。

発端はこちら:
当初はまともな(?)レスも。
しかし……
そして……
さりげなくこんな方も。
ビジネスプランの萌芽が……?
そして……
愛されキャラの本領発揮というところか。
#ちなみに辻さんの新事務所は5人まで収容可能だそうで。

おまけ。

告知: Search Summit Tokyo 2013

「Search Summit Tokyo 2013」なるSearch Marketing 関連のイベントが、10/30(水)に東京・渋谷で開催されるとのこと(有料イベント、定員100名/抽選制)。ロゴは真っ黒だが、内容はそこまで黒くない(はず)。今回のやりとりに顔を出したうちの何名かも登壇するようなので、興味のある方はどうぞ。

Search Summit Tokyo 2013

#とあるブログの書き手について実名と顔写真が掲載されているようだが、見なかったことにしていただければと。

2013/01/16

市長は「白票」…湖南市長選挙の“本当の”勝者とは?

最近、トンデモない分析記事がしれっと公開されていて驚くことが多い。I袋先生なら「大人なのだから見てみぬふりをしましょう」とスルーを推奨されるのだろうけれど、たとえばコレ↓
最大与党は「白票」…衆議院選挙の“本当の”議席数とは?
棄権と無効票を合わせて「白票」と定義するという雑な前提のもと、計算結果を延々と書き連ねている。当然ながら本来の白票(投票所へ足を運び、何らかの意思を表示している)と棄権(投票所へすら行っていない)では政治への関与姿勢がまったく異なるわけで、これをひとくくりにしては民主主義も何もあったものではない。やれやれ……

ところで、この記事のリンクに「これはおもしろい。国政政治家すべてが心に刻まなければならない数字ですね」とのコメントを付記してFacebook へ投稿した御仁を発見してしまった。プロフィールを見ると、この方なんと滋賀県湖南市の現役市長なのだとか……


プロフィール写真はアレだが、2004年4月から現職なのだそうで、地元では支持されているということだろうか。投稿自体もおそらく悪意はないのだと思う。ただ、どうも気になったので、2012年10月に行われた直近の湖南市長選挙の投票結果を確認してみた。
当日の有権者数41,813人に対して投票者数は期日前・不在も合わせて20,900人。投票率49.98%! そして237票(投票者数と開票結果合計の差分)が無効票と思われるので、上掲の記事の定義に従うと「棄権20,913+無効票237票=21,150票」が「白票」となる。つまり、

市長に当選したのは……「白票」!?

「国政政治家すべて」に加えて、地方政治家も心に刻んでいただくということでいかがだろうか。

2012/10/09

あなたはまだ粗悪な社団法人を設立しますか?

9月28日付けの「社団法人日本WEBライティング協会が発足しました 」というばらまきリリース(魚拓)が、いい感じに冒頭からかましてくれる。
あなたはまだ粗悪なウェブサイトを作成しますか?(社)日本WEBライティング協会では「ウェブを良くしよう!」を合い言葉に効果的で適切はウェブライティング方法の研究、普及と啓蒙を目的としてサービスを開始いたします。
……この2文から構成される105文字に対して、Webライティング以前の一般的な文章作法の観点から、ほぼ同じ文字量で3点ほど指摘したい。
冒頭から直訳調なのはなぜ? また疑問符「?」の後に文章を続ける場合にはこのように全角スペースを入れることをおすすめする(*参照)。そして、「効果的で適切ウェブライティング方法」ってアナタ……
#あとこれは好みだけど、「啓蒙」は「啓発」と言い換えるケースが多いかなあ、最近。

ついでなのでこの「日本WEBライティング協会」のWebサイトものぞいてみた。


前々回のエントリー「どちらの社団法人か明らかにしない人たち」の公開が9月24日。そこから突貫で直したのだろうか、titleタグやテキスト部分はおおむね「一般社団法人」と表記されているが、画像の一部は間に合わなかったようで。
*「一般社団法人」の略称は(社)ではなく(一社)

ちなみに「日本WEBライティング協会」の代表は、みんなが大好きなあの団体の「公認アソシエートコンサルタント」(魚拓)なのだとか。なるほどなるほど(棒

とりあえず筆者としては、奇しくも同じ9月28日に更新された住太陽師の誠実なエントリー「Webライティングとは」のほうを皆さまへおすすめしたい。そのうち京都あたりで「日本Webライディング協会」が設立されないかなあ。そっちは入会を検討するかもw

2012/10/01

「ブログ名の設定は、まだ。」へのSLAPP(スラップ)

*2013年12月29日 変更・追記:
2013年11月、東京地裁の勧告のもと当事者間の和解が成立したとのこと。これを受け、当事者に関する記述を削除した。


スラップといっても、少し前に話題になったGoogle Slaps(グーグル スラップ)の話ではなく、"Strategic Lawsuit Against Public Participation" の頭文字をとって「SLAPP」。直訳すると「市民の関与を排除するための戦術的訴訟」だろうか。オリコンからの訴訟を33か月にわたって戦い抜き、請求放棄を勝ち取った烏賀陽弘道さんのサイトでは以下のように解説されている
SLAPPとは何か:
「批判者封じを目的に起こされるいやがらせ訴訟。強者が弱者を相手に民事訴訟を起こす形が多い」
#まれに「スラップ訴訟」と略記されるが、「訴訟」はSLAPP のL(=Lawsuit)に含まれるため、単に「スラップ」と書くのが語源的には正しい(はず)。このあたりは「SEO対策」という表現とも似たものがある。

(削除部分)

最後に参考として、東洋経済オンラインの以下の記事を挙げておく。タイトルがすべてだと思う。

2012/09/21

どちらの社団法人か明らかにしない人たち

要は、2012年にもなって「社団法人」とだけ書くのは何らかの意図があってのことだよね、という話。業界雀たちの間で人気のアレに言及するので、以下のエントリーを未見の方は先に目を通しておいてほしい。

一般社団法人と公益社団法人

詳細はWikipedia あたりにゆずるが、いわゆる社団法人にはざっくり2種類ある。公益法人認定法に基づき公益性を認定された「公益社団法人」と、一定の要件を満たしていれば誰でも設立でき、事業目的に公益性を必要としない「一般社団法人」だ。後者の中には実態として株式会社と変わらないものも存在する。

以前に存在した「社団法人」は公益のためのものであり、この設立に際しては主務官庁の許可が必要であった。今でも社団法人と聞くと何やら理念のあるきちんとした団体のように感じられるのはそのためだ。しかし、実際には公益法人制度の改革によって2008年12月に上記の形に改められており、まもなく4年が経とうとしている。

全日本LPO協会なる団体

さて。2008年12月以降に届け出て「一般社団法人」の認証を受けたにも関わらず「社団法人」を強調する人たちが散見されるのだが、その狙いは何だろうか。例えば「社団法人全日本LPO協会」と称する団体がある。

#リンクはしないので、興味のある方はご自身で検索していただきたい。

フッターの「特定商取引に基づく表記」(*原文ママ)から確認すると予想どおり一般社団法人であることがわかるが、見てのとおり、ロゴから何から「社団法人」を連呼。トップページでの「社団法人」表記は画像やフラッシュ内も含めると実に15回に上る。

気になる設立年月についてはサイトに記載されていないが、同じ穴の全日本SEO協会 会員紹介ページ(魚拓)によれば、2009年8月とのこと。つまり設立当初から一般社団法人であったことが分かる。

正しく「一般社団法人全日本LPO協会」と記載するか、もしくは「全日本LPO協会」でよいと思うが、そうせずにあえて「社団法人」を名乗る理由は何だろうか。筆者には、公益性を持ったかつての社団法人と誤認させる目的以外には考えつかないのだが。あえて「詐称」とまでは言わないが、関係者たちの品性がよく表れた話だとは思う。

あの全日本SEO協会も

あれこれ調べる過程で、全日本SEO協会も同様に「社団法人」を冠していることが判明した。

これも同じく一般社団法人である。以前に取り上げた2008年6月当時のキャプチャには「社団法人」の記載は見当たらず、2008年12月時点の「全日本SEO協会について -> 会社概要」(Internet Archive) には運営主体として代表者の経営する企業名が記載されている。よってこちらも2008年12月以降に一般社団法人として登記されたものと推測される。

全日本SEO協会は公式サイトの委託先が作成した「お客様の声」(魚拓)の中で、以下のように語っている。

(株式会社ではなく社団法人として事業を行なう理由)

協会を設立した当時、SEO業界は、高額な料金を払える一部の人たちだけに絶大な成果が与えられる情況でした。(中略)沢山の会員を集めSEO成功のためのサービスを低価格で提供するために、より公共性を追求するために社団法人として事業を開始しました。

これは事実に即しているだろうか。

とりあえずの結論みたいなもの

「一般社団法人」は一定の要件を満たせば誰でも設立が可能であり、実態として株式会社と同様のものも存在する。公益のために設立されたかつての社団法人に相当するものは、現在では「公益社団法人」と呼ばれる。

上掲のように「社団法人」を連呼する手合いや、営利事業を行っているようにしか見えない「社団法人」から売り込みを受けたり紹介された場合には、「公益社団法人ですか? 一般社団法人ですか?」と聞いてみよう。

参考

ちなみに、かつての社団法人は新制度の施行から5年以内(2013年12月まで)に公益社団法人と一般社団法人のいずれに移行するかを選択する必要があり、例えば日本アドバタイザー協会やACジャパン、日本マーケティング協会などは公益社団法人へ、日本マーケティングリサーチ協会は一般社団法人への移行を完了している。


まっとうな団体が常識の範囲で記載するとこうなる、というサンプルとして上げておく。

2011/02/27

SEO 男子とつきあわない方がよい5つの理由

発端は@tsuj のこのtweet
便乗して「SEO男子と付き合った方が良い5つの理由」を書こうかと考えたけど、どう考えても「付き合わない方が良い5つの理由」しか思い浮かばないので断念。
せっかくなので、こちらで勝手に5つ挙げてみよう。SEO男子とつきあわない方がよい5つの理由とは、
  1. 「内面をおろそかにしながら外部の評価は異常に気にする」
  2. 「人によって見せる顔が違う」
  3. 「口数は多いが自分の言葉ではないらしく、前後がつながらない」
  4. 「正攻法を軽んじ、裏技ばかり試したがる」
  5. 「人倫にもとる振る舞いも、法には反しないと強弁する」
……あ、これはおおむね、スパム男子の傾向かな。ということで、タイトルは釣り。それぞれがどういう事象の比喩かを想像してみるのも一興かと。
No SPAM
まじめな話、SEO というのは商品なりサービスのよさを理解したうえでいかに適切に伝えるか、という技法のこと。広報(Public Relations = PR)に近い。真摯に取り組むごく少数のSEO 男子は、おそらく女性の魅力を見つけ、引き出すことにも長けているに違いない。

2010/06/06

Search Marketing Expo (SMX) Advanced 2010 Seattle まもなく開催

Search Marketing 関連の上級者向けカンファレンス "Search Marketing Expo (SMX) Advanced 2010" が、2010年6月8日、9日の両日、米国シアトルにて開催される。

SMX Advanced

Search Engine Strategies (SES) と並ぶ検索関連の有力なカンファレンスに成長したSMX だが、SES との違いのひとつがこの"Advanced" の存在だ。上級者向けと銘打ち、少ないトラック、少ない日数の中でレベルの高い内容が披瀝される。

筆者も実は2009年の開催時に参加予定であったが、新型インフルエンザの流行により断念した経緯があり、Advanced には今回、初の参加となる。何か酒場っぽい小ネタが拾えたらここで共有したい。

*関連するエントリー:

2010/05/30

日本の検索サービス利用動向(2010年4月)

日本の主要14検索サービスについて、ネットレイティングスが検索者数、クエリ数(検索数)、検索結果ページビュー数、検索セッション数などを発表している(2010年4月、家庭と職場のPCからのアクセス)。これは"インターネットユーザーの検索行動に焦点を当てた検索サービス利用動向レポート"「MegaView Search(メガビューサーチ)」の提供開始にあたり、その内容紹介を兼ねて発表したもの。

MegaView Search による2010年4月の検索サービス利用動向

発表された数字をもとに軽く触ってみるといろいろ興味深い内容が浮かび上がってくるが、その前に注意しておきたいのは、以前に「Yahoo! JAPAN とGoogle、実際の検索シェア」で紹介した2008年10月の数字とは、対象検索サービスおよび調査パネルが異なるという点だ。検索サービスは9から14へ増えており(独自開発ものではNaver が入った)、パネルについては名前のとおり、NetView ではなくMegaView を使用している模様(*)。特に調査パネルが異なるため、前回の数字との連続性はないと考えるほうが安全だ。

*23時40分追記: 「MegaView Search はNetView と同じパネルを使用している」との指摘が入ったため訂正を行った。「NetViewはコンテンツ単位にURLを束ねて集計しているが、MVSは検索クエリ単位にURLを束ねて集計している」とのこと。@nisitomo に感謝。

検索数(検索クエリー)のシェア

まずはベタにいわゆる「検索のシェア」から。前回発表されたのは「検索結果ページのページビュー数」のみであったが、今回は「検索クエリ数」も発表されており、こちらが検索の使われ方を示す数字としてはより適切かと思われる。検索クエリーの総数に占める各検索ブランドのシェアは以下のとおり。

検索クエリーのシェア

Yahoo! が53.2%、Google が37.3%、MSN/Bing が2.6%。以下、goo、biglobe、infoseek、nifty とつづく。ちなみに検索結果ページのページビュー数におけるシェアを見るとYahoo! が57.0%、Google が34.2%となるが、これは「1検索クエリにつき閲覧される検索結果ページ数が異なる」ため。以下に「検索結果ページビュー数/クエリ数」を示す。

検索結果ページビュー数/クエリ数

この数字の解釈はさまざまに可能で、すぐに思いつくものとしては「少ないほど検索エンジンとしての精度が高い(1ページ目にユーザーが満足できる結果を返せている)」「ユーザーが検索結果画面に求めるものが各ブランドごとに異なっている」など。後者の例としては、例えばBaidu が1クエリーあたり4ページ近く閲覧されているが、Baidu の精度が低いというより、何ページも見たいと思うような検索のされ方をしていると考えたほうが妥当だと思われる。つまり画像/動画検索がよく利用されているのではないかと(間違っていたら申し訳ない)。

#Baiduのローンチ当初はアダルトフィルタがデフォルトOFF で、巷で「漢(おとこ)の検索エンジン」と呼ばれたことを思い出す。


ユーザー1人あたりの検索数

もうひとつ興味深いのがこちら、「クエリ数/検索利用者数」の比較。ひとりの検索ユーザーが月に何回ほど検索するか、というものだ。

検索ユーザーひとりあたりのクエリー数

この切り口で見ると、Yahoo! とGoogle では検索利用者ひとりあたり月間56クエリー前後となっており、2強の様相を呈している。この数字の少ない検索エンジンは「ライトユーザーに支持されている」もしくは「メインの検索エンジンとしては利用されていない」のいずれかだと思われる。


その他

「MegaView Search(メガビューサーチ)」はウェブ検索のほか、イメージ検索、ショッピング検索、ニュース検索、ローカル検索の検索タイプ別レポートを提供する、とのこと。ネットレイティングスのリリース内、図表2においては「Yahoo! Search」の内訳が公表されている(ウェブ検索がYahoo! Search 全体の85%)。

いまの検索エンジンが向かう方向性としては、(Google やBing に代表されるように)ひとつの検索窓から入力された検索クエリーの意図に添った結果を、検索タイプを問わずひとつの検索結果画面として出力する、いわゆるBlended Search が当面の主流となっている。その意味で、検索タイプ別のレポートが検索利用の実態に合わなくなる日は遠くないのかもしれない。

2009/12/26

肉のSEO、横浜に現る

#ひさびさの更新にも関わらず一発ネタで申し訳ないが……

肉のSEO

食肉の卸を営む「Seo」こと瀬尾商店の営業車両。ちなみにこの瀬尾商店、横浜は平沼橋近くに本社ビルがあり、建物の側面には同様に「Seo」のロゴが彫り込んである。

SEO Building

インターネット利用における検索エンジンの重要性が高まり「Search Engine Optimization(検索エンジン最適化)」の略語として「SEO」という言葉が意識されるようになる以前は、「Seo」と書いてあれば当然のように「せお」と読み、瀬尾という語句をイメージしたことだろう。今では考えられない話だが、2003年の初め頃、Google での「SEO」の検索結果で10位以内に瀬尾という方のページが入っていた記憶もある。

SEO 関連ドメインの登録状況

ついでなのでSEO 業者垂涎の「SEO」関連ドメインの所有者を見てみると、
  • seo.co.jp: 合資会社 瀬尾製額所
    *登録年月日は1997/12/17
  • seo.jp: 瀬尾 律
    *個人と思われる。登録年月日は2001/03/26
  • seo.ne.jp: seo net
    *登録担当者が妹尾(せお)氏。登録年月日は2001/05/29
  • seo.or.jp: 医療法人社団三耳会瀬尾耳鼻咽喉科院
    *登録年月日は1998/04/21
となっており、瀬尾氏ないし妹尾氏が主要ドメインを押さえている状況だ。そのものずばりのドメインを取得したければ、遅くとも2001年の前半には手を打つ必要があった、ということになる。最近のSEO 屋の中には、その当時はまだ義務教育を受けていた、なんてのがいるかもしれない。いやはや。

2009/09/30

「イヤッフーウゥ」がコーラスに

米Yahoo! のトップページにおいてYahoo! ロゴの感嘆符(びっくりマーク)部分をクリックすると、ヨーデル風に「イヤッフーウゥ」と叫ぶ音源が流れる、というのは有名かと思う。



この音源、以前は男性による独唱だったが、男女のコーラスに変更されていることに気がついた(正確な変更日時は不明)。9月28日に公開された「It's Y!ou」キャンペーンのための映像のエンディングにも挿入されており、サウンドロゴ的な扱いになるようだ。


Yahoo!'s new "Anthem" ad
(なぜかYouTube にホストされている)


米Yahoo! 公式ブログ Yodel Anecdotalのエントリー「How we made our "Anthem"」によれば、このサウンドロゴは数百人の歌声をコーラスに仕上げたものだ、とのこと("We recorded literally hundreds of different people yodeling and then blended them together to create a chorus")。

2009/08/14

ad:tech Tokyo 2009  

「マーケティングとITテクノロジーに特化した世界最大級のカンファレンス」を謳うad:tech が日本に初上陸。9月2日(水)、3日(木)の2日間にわたり、3トラックの陣容で開催される。すべてのセッションに参加可能なフルカンファレンスパスは通常料金で9万円となっている。




カンファレンスのスケジュールはこちら。マーケティングを実施する主体である事業主(広告主)からの発表が充実している印象があり、企業のマーケティング担当者にとって参考になるのではないか。

#テクノロジーともマーケティングとも関係なさそうなクリエイティブ系のセッションが散見されるが、さて……

検索関連は今回なんと1枠のみ。3日の午後に開催されるSearch Marketing のセッションはネットイヤーの石黒氏をモデレータに、Yahoo! JAPAN とGoogle のサービス提供者2社+海外のSEMs 2社でのパネルディスカッションが予定されている。
モデレーター:
  • 石黒 不二代(ネットイヤーグループ株式会社)
パネリスト:
  • 河田顕治(ヤフー株式会社)
  • 小野雄高(グーグル株式会社)
  • Anton E. Konikoff (Acronym Media)
  • Motoko Hunt (AJPR LLC)

個人的な感想として、2日間3トラックに対して検索をテーマにしたセッションが1枠のみというのはバランスを欠くように思う。同時期に開催されるad:tech のシカゴ会場では、2日間4トラックのうち、2日目午後の1トラックがすべてSearch Marketing に割り当てられている(4月に行われたサンフランシスコも同様)。彼我の違いを感じさせられるが、これもまた、日本におけるマーケティングの現状かもしれない。

いずれにせよ、聴講者からそれなりの参加費を徴収する、という欧米では一般的ながら日本でほとんど定着していないスタイルをあえてそのまま持ちこんだad:tech の成否には注目しておきたい。価値のある情報に対しては正当な対価を払って学ぶ、という文化が日本に根付くかどうかの試金石でもあろう。


*無料で聴講可能なスポンサーワークショップに検索関連の2セッションが追加されたようだ。
  • 『海外におけるSEM最新情報と今後の展望』(SEMPO特別セッション)
  • 進む検索テクノロジーの変化とSEMの明日
後者はSEMリサーチの渡辺氏がモデレーターを務めるとのことで、パネリストの顔ぶれも興味深い。

2009/07/25

「スポンサーサイト」→「スポンサードサーチ」

Yahoo! JAPAN の検索結果ページにおいて、以前は「スポンサーサイト」と表記されていた検索連動型広告部分のラベルが「スポンサードサーチ」に変更されている。今回の変更により、オーバーチュアのサービス名称である「スポンサードサーチ」の認知度向上が予想される。



なお、米Yahoo! の検索結果においては「SPONSOR RESULTS」の表記のままであり、変更は行われていない。またGoogle の検索結果ページでは、日本向けは「スポンサーリンク」、Google.com in English では「Sponsored Links」となっている。

2009/06/30

オーバーチュアの地域ターゲティング設定がGoogle Chrome 非対応なのはChrome 側のバグ

Google Chrome でオーバーチュアの管理画面を開き、地域ターゲティング(地域による広告表示の絞り込み)を設定しようとすると、うまく表示されないのだそうで。

下記画像の通り、地域セグメントをかけようとした場合は、通常は対象地域を選ぶことが可能なのですが、Google Chromeの場合、地域セグメントをかけることができません。(中略)オーバーチュアのサポートに電話してみたところ『知らなかった』だそうです。殿様や。。。
オーバーチュアがGoogle Chromeに対応していない

Google ChromeでOvertureを使うと、地域指定ができず、日本全国を選ばなくてはならない。地域を指定する機能が表示されないからだ。囲い込みのつもりだったらやめたほうがいい。
ChromeでOverture


へー。ちなみにオーバーチュア管理画面の推奨ブラウザはWindows でMicrosoft Internet Explorer 6.0以上もしくはFirefox 2.x以上、MacintoshでFirefox 1.5x以上、Safari 2.x以上、Opera 9.x(Mac OS10以上)と記載されている。ただし「2007年8月1日現在」ということで、じゃっかん記述が古い感も。

また本家Yahoo! Search Marketing のヘルプにはSupported Browser の記載は見当たらないが、近しい関係にあるYahoo! UI Library では、以下の"A-Grade Browser" をサポートの対象としている

A-Graded Browser

競合のブラウザをはじくなんていう面倒な(しかもリスクの高い)手法をとるはずもなく、単にシェアの問題だろう。まあ別に一般人が知る必要はないのだけど。


同じWebKit を使うSafari ではどうか

自宅環境がMacintosh なので、Google Chrome と同じレンダリングエンジン(WebKit)を使っているSafari のバージョン 4.0(5530.17)で地域ターゲティングの設定を試してみた。以下のとおり、問題なく指定できている。

Safari でオーバーチュア管理画面から地域ターゲティング設定

で、アドワーズ広告のヘルプ内にGoogle Chrome に関する記述があるのだが、
Google Chrome では Apple Safari と同じオープンソースのレンダリング エンジン (WebKit) を使用しているため、Apple Safari と同じようにサイトが表示されます (Internet Explorer や Mozilla Firefox とは異なって表示される場合があります)。互換性を高めるため、何百万というサイトで Google Chrome ブラウザをテストしました。
Google Chrome ブラウザでも他のブラウザと同じようにウェブサイトが表示されますか?

なのだそうだ。その上で「Google Chrome で表示したときにサイトが適切に動作しない場合は」以下の方法で報告するようユーザーへ協力を呼びかけている。
  • Google Chrome と Apple Safari の両方でサイトが適切に表示されない場合は、http://webkit.org/quality/reporting.html (英語のみ) の手順で webkit.org にバグを報告してください。
  • Apple Safari ではサイトが適切に表示されるが、Google Chrome では表示されない場合は、http://code.google.com/p/chromium/issues/list で Google Chrome のバグとして報告してください。

ということで、上掲の両名はすみやかにGoogle Chrome のバグとして報告すべし。

2009/05/29

Bing - Microsoft の新しい検索エンジン

Microsoft の新しい検索エンジン「Bing」(http://www.bing.com/)が「Coming soon」となっている。キャッチフレーズは"bing and decide(Bing で探して、決めよう)"。



「Find out more」をクリックするとhttp://www.decisionengine.com/ へ遷移し、この検索エンジンの特長を解説する動画が閲覧できる。

なお、ご多分にもれずBing もtwitter にアカウント(twitter.com/bing)を保有しており、左側にBin Search Team の5人の顔写真と名前が掲載されている。

このフッターがすごい

立ち行かなくなった某社の動画サイト。やけに縦方向のスクロールバーが短く表示される(=ページが縦方向に長い)なあと思って下までスクロールさせてみると……



……ページの下部、約3分の1を占める大量のコピーライト表記群。あまりにもたくさんあり過ぎて、ひとつひとつが意味をなくしてしまったかのようにさえ感じられる。こういう足枷をひきずってビジネスをやっていたのでは(以下略

#このフッターを遠目に見た瞬間、昔なつかしい「キーワードの詰め込み」では? と疑ったのは内緒だ。

2009/04/30

検索に見るオバマ政権の100日

バラク・オバマ政権発足からの100日間を検索動向で見る、というエントリー「100 Days of Obama Searches」が米Yahoo! Search Blog に掲載された。例えば就任演説を受けてどういったキーワードが検索されたか(式典で歌を歌ったアレサ・フランクリンの帽子についてや、ミシェル夫人のドレスのデザイナー、ランチのレシピなど)、外遊時に面会した外国首脳の名前の検索状況などが紹介されている、

オバマ夫妻に関する検索動向


上掲のグラフはオバマ夫妻に関する検索動向で、青のラインがバラク・オバマ大統領、赤がファーストレディであるミシェル夫人に関するもの。夫だけでなく、妻もさまざまなタイミングで注目の的となっていることがわかる。ミシェル夫人の名前との組み合わせキーワードとしては「pregnant(妊娠、実際にはしていない)」、「dress size」「wedding ring」などがあり、「how tall is Michelle Obama(ミシェルの身長は?)」という検索もあったとのこと。


The Official White House Photostream on Flickr

オバマ大統領がTwitter 上で情報発信を行っていることは有名だが(アカウントはBarackObama)、このほかに大統領とホワイトハウスの動静を伝えるものとして、Flickr 上に開設されたホワイトハウスの公式アカウントがある。


http://www.flickr.com/photos/whitehouse/


オバマ大統領や関係閣僚、スタッフの執務風景がCreative Commons で掲載されている。(日本の官邸がここまでの情報公開と共有を行う時代は何年後だろうか……)

2009/03/29

Yahoo!アクセス解析(ベータ版)公開

Yahoo! JAPAN が3月10日、「Yahoo!アクセス解析」のベータ版を公開した。アクセス解析ツール自体の利用は無料だが、当初はYahoo!ジオシティーズの有料会員(ジオプラス会員)のみへの提供となっている(「一般公開に先立ち」との表現がなされている)。



当初は上掲のサービス紹介ページもジオプラス会員以外は閲覧できない、という設定であったが、現在はトップページのほか「機能と特長」「よくある質問」「はじめての方へ」などのページが閲覧可能となっている。主なページは以下のとおり:

Yahoo!アクセス解析の実際の使用感については3月16日に「RealWebAnalytics(リアルアクセス解析)」にてレポートが上がっている。
Google Analyticsの対抗馬?「Yahoo!アクセス解析」使用レポート
2日間しか利用していない、といいながらもなかなか詳細なレビューとなっている。興味のある方はご参照を。


Yahoo!アクセス解析とIndexTools

米Yahoo! は2008年4月に高機能アクセス解析ツール「IndexTools」を買収し、その後「Yahoo! Web Analytics」としてリリースしている。



IndexTools はもともとハイエンドのアクセス解析ツールとして有償で提供されており、日本での認知度こそ低いものの、欧米では定評のあるツールであった。このIndexTools のウリのひとつが「リアルタイム性」、つまりサイト内でのユーザーのアクションがデータに反映されるまでの時間の短さであった。Yahoo! Web Analytics もこの点をひきついでおり、「Get detailed reporting within minutes after an action occurs on your website. (Web サイトでのアクションが数分内に詳細レポートへ反映されます)」とうたっている。

「Yahoo!アクセス解析」も同様に「リアルタイム解析」をサービスの特長として打ち出している。こういったデータへの即時反映はハイエンドになればなるほど実現が難しくなる性質を持ち、某有償ツールなどはいまだに深夜にバッチ処理を行い翌朝にデータが出てくる、などの状態だと聞く。Yahoo!アクセス解析のリアルタイム解析が競合ツールに対する優位性としてユーザーに評価されるかどうか、注目される。

2009/02/28

検索エンジンおよび関係者のTwiiter アカウント 

……という記事がSearch Engine Land に掲載されている。「The Big List Of Search Engines & Their Employees On Twitters」。リストを見ると、企業としてのアカウントや(Yahoo!, Google ほか)、サービスごとのアップデートを伝えるもの、関係者個人のアカウントまでさまざま。

企業としての利用開始はYahoo! が早かったが、Google の利用開始は大きな話題となり、3日ほど経過した現時点でのfollower 数はなんと31,833。さすがに企業としての注目度を感じさせる。ちなみにYahoo! は5,486 followers となっている。





またこの記事が掲載されているSearch Engine Land もTwitter アカウントを保有しており、主に新着記事を知らせている。メールマガジンを登録していたり、RSS で読んでいる人には不要だろうが、今後は日本でもニュースサイトがtwitter アカウントを持つ動きが加速するのだろう。


【追記】
そうそう、忘れてた。同じくSearch Engine Land のSearch in pictures にこんな画像が(cc by MarekP)。



検索エンジン同士で「Twitter へようこそ」「ありがとう」などと会話している。 :-)

2009/01/16

Yahoo! JAPAN とGoogle、実際の検索シェア

ネットレイティングス社がニュースレター「Nielsen Online REPORTER」の1月15日号で「日本の検索サイトの利用状況」をレポートしている。このレポートが、昨年12月に報じられたグーグル日本法人による会見時の
“Googleのシェアは41%で、44%のYahoo!との差が縮まってきた。”
Yahoo!の背中見えた? グーグル日本法人が「よい年だった」(@IT)
を実質的に訂正するものだ、ということをどのくらいの人が認識しているだろうか。ニュースレターによれば、2008年10月における「検索結果ページ表示数」は以下のとおり。



「Yahoo!が提供する検索サービスが、家庭と職場の合算で35億3600万ページビュー、Googleが提供する検索サービスが同25億6800万ページビュー」(同ニュースレター)となっている。10位以下の検索サイトでのページビュー数が省略されているため、この9サイトの合算で計算すると、それぞれの検索結果ページ表示回数の割合はYahoo! JAPAN が52.5%、Google が38.1%となる(10位以下を考慮すると、実際にはそれぞれがこの数字よりわずかに下がる計算となる)。

それでは昨年12月の会見で使用された44%対41%という数字はどこから出てきたのだろうか。実はネットレイティングス社が提供するインターネット利用動向調査(いわゆる「ネット視聴率」)の「NetView」において
  • 「サーチ」サブカテゴリを
  • 「家庭+職場」で
表示させると、確かにこの比率のもととなる数字が出てくる。実数でいうと2008年10月の数字でYahoo! JAPAN が35億3,600万ページビュー、Google が29億7,200万ページビュー。ただし、同社自身がニュースレターで言及しているとおり、この「サーチ」サブカテゴリの集計方法には大きな問題があって、
検索サイト(Google、Ask.jp、Baiduなど)においては各サイトのトップページの利用状況(利用者数、ページビューなど)も含まれてレポートされている一方、ポータルサイト(Yahoo!、MSN/Windows Liveなど)においては各サイトのトップページの利用状況(利用者数、ページビューなど)が含まれていない
(同ニュースレターより)
確かにYahoo! JAPAN のトップページにアクセスしたユーザーがすべて検索目的かというとそうではなく、むしろブラウザのホームページに設定されているため毎回自動的に表示されるだとか、メールやオークションへアクセスするためだとか、検索以外の目的で開かれている可能性が高そうだ。

よってこのサブカテゴリにおいてポータルのトップページを除外するのは合理的だが、一方で検索サイトのトップページを含めてしまっているのは片手落ちだろう。ましてGoogle 日本のトップページがデザインを変更し、グローバルと異なった独自仕様となっている現在、Google トップページへのアクセスが検索目的とも言い切れなくなってきているのではないか。

「職場」の数字を使う際の注意点

もう1点言及しておきたいのは、昨年10月のサービスリニューアルにより提供されるようになった「家庭+職場」のデータのうち、「職場」部分がどのように集計されているか、という点だ。ご存知のとおり、同社を含む多くのデータ提供会社は、インターネットユーザーのPC にプログラムをインストールし、データを取得・集計している。

とすれば、初歩的な疑問として「日本の職場で自由にプログラムをインストールできる環境はどの程度の割合なのか? それは日本における職場でのインターネット利用を代表しうるのか?」という質問が浮かぶ。例えば金融系の企業がこういったツールのインストールを認めるかどうか、想像してみるとよい。一定以上のセキュリティ意識を持つ企業は「職場」のパネルには含まれていない、と解すべきだろう。

また「家庭」が少ないながら万単位のパネルを確保しているのに対し、「職場」については約800にとどまっている点もおそらく認知されていないであろう。統計的な処理により信頼性は担保されているものと思うが、パネル数が少なく、かつセキュリティ意識の高い企業が含まれ得ないパネル構成となっていることは理解しておくべきかと思われる。

#そうはいうものの、家庭よりも職場においてGoogle がより広く利用されているだろう、というのは体感値として納得のいくものではある。

グーグル日本法人が提示した「サーチ全体のシェア」の数字が衝撃的だったのは、
  • そもそも「サーチ」サブカテゴリの算出方法が合理的でなかった
  • これまで「家庭からのアクセス」の数字が広く認知されていたところ、グーグルの利用比率が高く出る「家庭+職場」のデータを用いた
ことに起因している。

どういった数字であれ、それがどのように取得され、どのような傾向を持つ可能性があるか、理解したうえで使いこなすことが重要である。企業が発表に用いたから、ニュースサイトに書いてあったから、と鵜呑みにしていては進歩はない。

#本エントリーの本筋ではないのだが、Baidu 検索の結果ページ表示回数が4,738万回というのは多いのか少ないのか。うち何割が動画/画像検索なのか、という点も含めてたいへん興味深い。

2009/01/12

SEM酒場について

検索エンジンマーケティング(SEM)まわりをメインに、インターネットやマーケティングなどに関するあれこれを、気が向いた時につづるブログ。当然ながら所属する企業の見解を示すものではなく、あくまで個人としての意見表明である。また基本的には誰でも参照可能な公開情報をもとにしており、勤務を通じて知り得た非公開情報などは利用していない(はず)。

最近はSEO やスパム関連の話が増え、悪辣なサービスに対して苦言を呈することもあるが、必ずしも本意ではない。「SEM酒場」のブログ名が示すとおり、本来は酒場での話のネタになるような、役には立たないが微苦笑を誘われる話題こそ取り上げたいと考えている。

副題の「ぼくは検索エンジンとブラウザが好き」は植草甚一氏の書名のもじり。インターネットへの入り口であるブラウザと、道しるべとしての検索エンジン。つまりインターネットを利用する際にかかせないふたつのものに焦点をあて、自分なりにインターネットの面白さと今後の方向性に迫りたい、ということなのだろう、今にして思えば。

筆者(kuroyagi)について

ここでは実名等は開示しない。調べればすぐ分かるので興味のある方はそれこそ検索していただきたい。ニュース系Web サイトの企画・運営を経て2003年1月からSEM の領域に関わり、主に大手企業向けのSEO コンサルティング(1案件につき半年で数百万円規模)や自社のマーケティング/広報を担当(→在職中に上場)。現在は広告配信プラットフォームに所属し、マーケティングコミュニケーション/広報を担当している。

*この項については随時更新する可能性あり。

2008/12/30

できればDISらずに暮らしたい(2008年をふりかえって)

2008年は検索/SEM にもブラウザまわりにもいろいろと動きのあった年だったが、当サイト(SEM酒場)で今年よく読まれた記事を以下に紹介したい。アクセス解析を見るとトップページがページビュー全体の21.6%を占めるのだが、トップをのぞいて今年もっともアクセスの多かったエントリーから順に紹介する。
  1. SEO 屋の半分はクズだ。(13.3%)
    何やら物議をかもしたようだが、比率はともかくとして、クズがこれまで以上に目につくようになったことは事実かと。ちなみにタイトルは「広告費の半分は無駄だ。問題はどの半分が無駄なのかわからないことだ」のもじり。
  2. 全日本SEO 協会?(7.3%)
    これもひどかった。秋に何やらイベントごっこをやった後、動きが絶えているようだが、このままフェイドアウトすることをおすすめする。当時フォローできなかったが、同協会にアドバイスを寄せた人がいるようだ。優しいなあ。
  3. ドリコムad4U は「行動スキミング広告」(3.8%)
    現在進行形だが、行動ターゲティングという手法、ひいてはインターネット広告全体への信頼性を損ないかねないという意味で依然として深刻。問題を提起した高木氏のサイトを中心に検証が続けられている。本エントリーもこちらで言及いただいた
  4. さよならEC ジャパン(3.4%)
    2007年のエントリーだが、今年も地味にアクセスを積み上げている。Yahoo! JAPAN、Google ともに「ECジャパン」で検索してファーストビューに入っているが、それにしても同社が現在まで継続して検索されつづけるほどのブランドを築いたことに驚かされる。
  5. 外部リンク系SEO スパムの話(3.3%)
    このあと、「インデックス削除をくらったスパム業者のリスト」(2.6%)、「Blogger はSEO ツールらしい」(2.2%)、「CSSによる隠しテキスト、間抜けな注釈つき。」(2.2%)とSEO/スパム関連のエントリーがつづく。みんな好きだねえ。

こうやってふりかえると始終DIS ってばかりいるようだが、筆者本人は至って温厚な性格である。自分でいうから間違いない(by 三木道三)。今年アップした29本のエントリーのうち、まじめなもので気に入っているのは例えば「インターネットユーザーの時間を値付けする 」だったり、「ブラウザによるURL の補完 」、「検索とエコと広告 」(←特に後半部分)などだ。

もともとSEM酒場は、業務には直結しない検索エンジンやブラウザに関する小ネタを載せる場として始めたもの(エントリーでいうと「Yahoo! or Ya-Hoo? 」や「baidu.co.jp - 百度(Baidu )とは無関係 」など)。来年は本来の趣旨に戻ってエントリーをあげることができるような、穏やかでまともな年になるといいな、と願う。ではよいお年を!

2008/12/27

今年のベスト(?)キャンペーン(??)

「今日のニッパウ」の小越氏からビーンボール気味のクリスマスプレゼントが。おおもとはここのようだ。
「2008年、ブロガーが選ぶウェブキャンペーンベスト5」と称して、ブログ界的には懐かしい「バトン」形式で、色々なブロガーに今年一番印象に残ったウェブキャンペーンを選んで頂き、うまく2008年の広告業界を振り返って頂きたいと思います。
筆者の更新頻度で果たして「ブロガー」といってよいのか、とも思うし、ウェブキャンペーンに限定されてしまうと「ない」という結論になってしまう。

しかし小越氏の1位が「オバマ大統領のインターネットキャンペーン」であるように、各種キャンペーンの中でインターネットのからませ方がうまかったもの、と考えると……やっぱりないな。オバマは同意だけど先に言われちゃってるし。

まあ期待されてるのは「広告系」(だっけ?)の人たちが取り上げないような角度のものだろうから、せっかくなのでひとつだけ。

パナソニック(旧「松下電器産業」)の企業ホームページ
http://panasonic.co.jp/


既に有名だと思うが、4回目の冬を迎えてもまだ継続している、というところをあらためて評価したい。2005年にFF式石油温風機の欠陥問題が明らかになった際に、同社がCM をすべて当該温風機の回収告知CM に差し替えたり、はがきを全戸に送付したりと徹底した呼びかけを行い、結果として企業への信頼性を高めたのは覚えている方も多いことだろう。

ではこの時、Web サイトにおいても「松下電器からのお願いです」のページ以外は表示できないように対応していたことはご存知だろうか。その後、リダイレクト処理は外したものの、トップページ(http://panasonic.co.jp/)はほぼこの回収の呼びかけのみという状態が現在まで続いている。

panasonic.jp という商品情報サイトが別に存在するとはいえ、企業ホームページのトップを何年もこの状態にしつづける、というのはなかなかできることではない。特に2008年は松下からパナソニックへの社名変更とブランド統一もあった訳で、そのタイミングでこの告知の扱いを下げていても不思議はなかっただろう。

筆者も参加しているWeb 広告研究会の企業広報ワーキンググループでは、こういった企業ホームページの危機管理に関する研究を継続して行ってきており、この12月にはまとめのセミナーを会員向けに実施し、盛況であった。派手なキャンペーンもよいのだが、安全や企業の誠実さに対する視線が厳しくなっている現在、何かことが起きた時の対応のあり方を考えておくことは重要ではないだろうか。


検索まわりでは

検索やブラウザまわりもいろいろ動きがあったこの1年だが、中でもGoogle Japan がお金をかけて本格的にマーケティング活動を展開しだしたなあ、という印象を受けた。「Google で、できること。」なんかのことだが。日本独自のトップページにしたこととあわせ、これ以上にのばすためにはどうすればよいのか、という問題意識から具体的なアクションが出てきた一年だったということか。

ただやはり、もっとも世の耳目をひいたのはストリートビュー騒動だろうし、これによってGoogle の企業姿勢が広く伝わったことこそが今年のトピックなのだろう。よくも悪くも、特に同社の広告審査に対するスタンスを理解している人であればストビュー問題にも通底するものを感じただろうし、特に驚きもなかったはず。しかし単に検索やその他の優れたサービスを利用してすごいすごいと言ってるだけの人の中には、ここで初めて危機感を持ったという人も多かったのかもしれない。

#筆者はこういった点も含めて、それでもGoogle はすごい、という評価が妥当だと考えている。

2008/11/24

What Jerry Yang could do...

各所で既報のとおり、米国時間の11月17日、米Yahoo! の創設者であるJerry Yang (ジェリー・ヤン)が、2007年6月に就任したCEO の職を辞す意向を明らかにした(プレスリリース)。適切な後任が見つかり次第CEO の座を離れ、取締役およびChief Yahoo! に戻る、とのこと。

下の写真はその4日前、11月13日にFlickr に投稿されたもの。共同創設者であるJerry Yang とDavid Filo のイラストに「YAH WE CAN」の文字。いうまでもないがBarack Obama 次期大統領のフレーズ「Yes We Can」とYAHOO! をかけたものだ。YAH 部分のフォントもおなじみだろう。


Uploaded by Yodel Anecdotal on 13 Nov 08, 5.37AM JST.


……残念ながらJerry Yang は何かをなし得ることはかなわず、CEO 辞任となった。個人的にも一抹の寂しさを感じるが、社内の状況はどうであれ、Yahoo! がいまだに世界のインターネットユーザーに支持されるブランドであることは事実。今後を見守りたい。

*関連するエントリー:

2008/10/26

ドリコムad4U は「行動スキミング広告」

#今さら感あるけど大事なので。

業界関係者の間で「大丈夫なのか」と心配されていたドリコムの「行動ターゲティング広告」ad4U。インターネットユーザーの行動履歴を、「ウェブブラウザの基本機能を活用して」(参照)自社が運用も広告配信もしていないサイトでの行動まで含めて照会できる、というふれこみであったのだが、直線的に考えればブラウザの行動履歴をぶっこ抜くくらいしか実現方法がないわけで。



この種の広告に少し詳しい人間の誰もが疑問に思いながらも「ad4Uは国内で特許を申請中のため,技術の具体的な内容は開示していない」(参照記事)とのことで詳細が開示されないままサービスが開始されていたわけだが、まあ案の定というか……このad4U の正体が高木浩光氏のNIKKEI NET への寄稿によって明らかになった。
楽天ad4Uの実際の広告を調べてみたところ、Flashオブジェクトの中に数千個の隠しリンクが埋め込まれており、JavaScriptによってそのリンクの訪問の有無を調べ、どんなカテゴリーのサイトに多く訪問しているかを集計し、そのカテゴリーの広告を表示するようになっていた。
高木氏はおそらく優しい方とみえて、「バグの存在を前提にした事業のリスク」などを心配してあげているようだが、この件のポイントはもっとシンプルなはず。まずは「特定の企業から配信される広告は、表示の前に、他者には知られていないはずの自分の行動履歴を数千ものURL と突き合わせて読み取る」と知ったインターネットユーザーがどのように感じるか、だろう。

ブラウザが訪問済みリンクの表示色を変えるのは、ユーザーの利便性を高める(既に訪問済みのページを再度開かなくて済む、あるいは以前訪問したページに効率よくアクセスする)ためであって、ドリコムに訪問履歴を渡すためではない。ad4U、嫌悪感を抱かれない広告、の真逆を行くものといえるだろう。

奇しくも高木氏の寄稿のタイトルが「行動ターゲティング広告はどこまで許されるのか」となっているように、行動ターゲティング広告には、杞憂にすぎないものも含めてプライバシー周りの懸念がどうしてもつきまとう。そこをいかに理解してもらうかについて関係各社が苦心しているところへ土足で踏み荒らしに来たような今回のドリコムの振る舞いは、まったくもって承服しがたい。

ドリコムにはぜひ「行動スキミング広告」という独自カテゴリーを立ててもらい、そこで圧倒的ナンバーワンになっていただきたい。行動ターゲティングを僭称するのはご勘弁を。

#あと、楽天とライブドアがいつまでad4U を採用しているのか、こちらも見ものかもしれない。特許申請中を理由に詳細が開示されなくても、ドリコムはともかく楽天やライブドアが採用しているのなら滅多なことはなかろう、と無理に自分を納得させていた人も多いだろうから(恥ずかしながら筆者もそうだ)。

2008/09/27

アドパートナーの審査を通過

Yahoo! JAPAN の広告配信プログラム「アドパートナー」の利用登録を行ったところ、本サイト(SEM酒場)がめでたくサイト審査を通過した。これで落とされたらそれはそれでネタとして面白いかも、などと思っていたのだが。

アドパートナー管理画面トップ

9月の3連休(13日〜15日)にアドパートナーの利用者登録とサイト登録を行い、「テスト配信完了のお知らせ」が届いたのは18日のこと。広告のテスト配信が完了してから行われるサイトの審査には「2週間程度かかりますのでご了承ください」と書かれていたのだが、翌19日には「審査結果のお知らせ」が到着した。

Yahoo!ウェブオーナーセンター アドパートナーをご利用いただきありがとうございます。

お客様のサイトを審査させていただいた結果、対象範囲が審査基準を満たしていましたので合格と判定いたしました。

サイトのURL:
http://sem-bar.blogspot.com/


4営業日で登録から審査まで完了しており、意外にスムーズ。

テスト配信のあいだ右メニューの一番下に表示していたアドパートナーの広告枠を、今回の審査通過を機に、中ほどに引き上げてみた。個別エントリーページの本文を読み終わるあたりで目に入る、という形を狙っている。本気で収益を狙いに行くのであれば同じメニューでも一番上とか、メインコンテンツ領域の上下に配置すべきだと思うが、現時点ではもろもろの確認という意味合いもあり、この形にした。今のところ社会貢献広告がほとんどのようで、クリックも発生していないが、今後、様子を見ながら手を入れてゆく予定。

アドパートナー雑感

冒頭の画像がアドパートナーの管理メニュー(いわゆる管理画面)トップ。Google AdSense の管理画面と比較すると、全体的に余白が広めにとられている印象がある。メニューとしては「配信レポート」「報酬レポート」「広告設定」「サイト管理」「登録情報管理」があり、いずれも特にわかりにくい点はない。ただ、ヘルプの内容が「わからないことを解決する」ためのものにとどまっていて、より多くの収益を上げるためのヒントまで踏み込めていないのは今後の改善課題か。

*このあたり、先行するAdSense のヘルプはさすがに充実している。例えば「Google 広告はページのどの位置に掲載すればよいでしょうか?」など。

また、「広告設定」で選択できる広告のフォーマットが3パターンしかないというのは(当初バナー広告の配信からスタートした都合上、クライアントに多くのクリエイティブを用意してもらうのが難しいという理由はあったにせよ)広告を掲載する側としてはありがたくない。今後、インタレストマッチの配信が本格化し、テキスト広告が中心になればパターンは増えてゆくものと予想される。

2008/09/15

いえ、SES Tokyo です。

Yahoo! JAPAN で「SES Tokyo」と検索すると、もっと万人受けしそうなものを「〜ではありませんか?」とオススメされる。分かるけど、違うYO!

「SES Tokyo」と検索

なお、SES Tokyo の開催日は当初、今年10月28日・29日とアナウンスされていたが、日本向けページの記述が「日程は近日発表」と変更され、本家SES のEvent Calendar からもTokyo が落ちている。事情は聞いているが、職務上知り得た内容になるためここには書かない。Web で確認できる内容から推察いただきたい。

#本件、MarkeZine Day 2008 の会場で何度も聞かれたので。

*関連するエントリー:

2008/09/04

検索とエコと広告

検索をめぐるあれこれを考えるのにちょうどよい事例が見つかったので、つらつらと書いてみよう。「欧州の視点」の「グリーン検索あれこれ」というエントリーから。
検索でエコ活動に貢献しようというドイツベースのNPO、Forestle.org のグリーン検索が、開始後まもなく行き詰っている。

Googleの検索サービスを利用して、ユーザーによるスポンサーリンクのクリックから得た収益を熱帯雨林維持活動にあてようというサービス。 Forestleで1回検索すると、0.1平方メートルの熱帯雨林を救うとあり、現在29273.2平方メートルを救ったとサイトに書かれているが、 Googleが「人工的にスポンサーリンクをクリックさせることを奨励している」として提携を解消したようだ。
これはGoogle の対応が正しい。検索1回あたりの広告収益を事前に確定させることはできないため、「1回検索すると、0.1平方メートルの熱帯雨林を救う」というようにうたうことは本来、望ましいこととはいえない(ざっくり見積もることはもちろんできるが)。

この数字を目標どおりに達成するためには、必要額が得られなかったときの広告以外の収益による補填の方法をあらかじめ定めるか、もしくは広告のクリックを(明示的であれ暗示的であれ)促すしかないわけで。この場合、同じようなモデルの「緑のgoo 」がとったように、「収益のうち決まった割合を寄付」といった形が無理のないやり方だといえる。

ちなみに現在、実際にForestle で検索してみると、以下のような凄まじいメッセージが表示される。ひどいねこりゃ。



Forestle が当面の代替としてすすめている「Znout」がまたなんというか……環境に配慮したサーバーを利用している、などはよいのだが、デザインテンプレートが同一で手抜き感がただようのに加え、「Our black background lets you save up to 30% energy while searching the web. (黒の背景色により、検索時のエネルギー消費を30%削減できます)」というのはいかがなものか。大元の検索エンジンがWeb をクロールしてインデックスし、検索のリクエストにこたえるまでの、すべてのプロセスにおいて消費されているエネルギーの総量から見たときに、それはどのくらいのモノなのか。狭いなあ。



#背景色を黒に、というのはBlackle のアイデアだったと記憶しているが、それも登場時にその有効性について激しい議論があったような。

ちなみにご本尊のGoogle では、Google.org の中で再生可能エネルギーの研究を進めている。レイヤーがいくつも下のところから解決策を探しにゆくGoogle の姿勢には驚かされることが多いが、これもそのひとつ。ものごとの進め方については強引なところが気になり、同意しかねることも多いが、このエネルギーに関する取り組みについては素直に賞賛してよいのではないか。

*その他、本件と直接関係しないが示唆に富む記事:
 Greenseng:グリーンな検索エンジンは、実際に省エネ効果がある (TechCrunch)


検索をめぐるエコシステム(生態系)

ついでなのでちょっとマジメな話。広告配信プラットフォームとしてのGoogle(や同業他社)の役割は「インターネットユーザーと広告主を適切に結びつけること」であり、関係者は以下のように整理できる。

インターネットユーザー
↑↓
広告掲載サイト
↑↓
Google(広告配信プラットフォーム)
↑↓
広告代理店
↑↓
広告主


広告代理店を通さず直接出稿することも可能であり、またGoogle において検索が発生した際には広告掲載サイト=Google となるが、ここでは分けてある。

ポイントは、いわゆる検索連動型広告をめぐってこれだけの利害関係者が存在し、広告配信プラットフォームを仲立ちにしてつながっている、という点にある。従って特定のプレイヤー、例えば広告主だけがメリットを享受するような運営をしたのでは、この生態系の中で他者が圧迫されることになり、ひいてはエコシステム全体が存続の危機に瀕しかねない。

これは広告掲載サイトについても同様であり、今回のForestle のふるまいはこの全体像を理解していないがために発生したものと推測される。