米Yahoo! が15日に公開した「Yahoo! Mail」のベータ版、日本語での提供がないためにあまり話題になっていないようだが(レビューといえばTechCrunch 日本語版くらいか。ただしこれも日本語訳)、かなり真っ当で使いやすいサービスに仕上がっている。なんというか、通常のメーラーがそのままブラウザの中で展開される感じ。Ajax によりドラッグ&ドロップでメールをフォルダへ移動できるだとか、キーボードショートカットがまずまず充実してるだとか。
ここらへんの使い勝手のよさは、米Yahoo! が2004年7月に買収したOddpostの技術をひきついだものだという。ただしOddpost の対応ブラウザがIE に限定されていたのに対し、今回のYahoo! Mail ベータ版ではFirefox など他のブラウザでも問題なく動作するようになっている。ちょっとこう、買収から成果として出てくるまでに長くかかりすぎている点が残念ではある。
Google のGmail と比較してみるとどうだろう。「Search, don't sort」に代表されるGmail の設計思想とUI(User Interface)は革新的だったし、当初、招待制をとったことによるプレミアム感の醸成であったり(Yahoo! Mail ベータ版はアカウントを取得すれば誰でも利用可能)、当時としては桁外れの大容量(1GB)を提供して話題を呼んだことなど、マーケティング的にも興味深い。他にもラベル(タグ)によりメタ情報を付加して検索の精度をあげるだといった工夫や、Ajax による軽快な操作性だったり、特筆すべき点は多くあげられる。
ただ、何種類ものUI に慣れて使い分けることによるストレスを考えると、Web メールの正常進化版ともいうべき今回のYahoo! Mail ベータ版を歓迎する人も多いように思う(TechCrunch 「.Mac ウェブメールはなぜ重要なのか」もご参照を)。PC の使い方がいずれ「フォルダ分けして整理するよりも必要なときに検索する」という方向に変化すれば、Gmail 的なインターフェースのほうがなじみやすくなるだろうから、少し長期的な視野で考えてゆく必要はあるだろうけれど。
まあとりあえず、よくできているサービスがその地味さ、真っ当さゆえに評判にならず、寂しい気がしたのでエントリーを上げてみたという次第。
最後に、Yahoo! Mail ベータ版のちょっとした難点としては、画像による広告が目につきすぎること、だろうか。無料サービスなのでやむを得ない面もあるが、最近の控えめなテキスト主体の広告に慣れるとけっこう煩わしく感じる。年間19.99米ドルを払えば表示されなくなるので、使い倒すならアップグレードすべきだとは思うが、文字化けの有無などやレスポンスの快適さなど、日本からの利用についてもう少し確認してから検討したい。
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