2008/06/29

全日本SEO 協会?

木の芽時は過ぎたはずだが、業界が成熟しだすとこういうのが増えるのだろうか。「全日本SEO協会」だそうで。こらこら、プロレス団体じゃないんだから新日本を作るとかいわないように。



この件を最初に報じた渡辺隆広氏のコメントもいい味を出している。
#いつのまにか、こんな団体ができてるんですねー 全然知らない人ばっかりー。
ははは。ネタにマジレスだけど、たぶん中小〜零細企業を相手に、地域名と組み合わせたキーワードなんかを提案して、運よく受注できたら一生懸命リンクを張ったりする人たちなんだろうなあ……そりゃあコンペにもならないし、知り合う機会もないだろう。

なお、ロゴの右下には登録商標マーク(®)が付けられているが、特許電子図書館の商標検索で調べたところ、本当に登録されていた。本質から外れて外面だけ整っているあたり、何やら先日の「インターネット検索能力検定」と同じにおいを感じるのは筆者だけだろうか。

全日本SEO協会「代表」の鈴木将司なる人物

全日本SEO協会のトップページには、中年男性の顔写真と「公認アソシエートコンサルタント第二期募集について」という文言があり、そこからリンクされている「公認アソシエートコンサルタント第二期募集について」のページを見ると、
アソシエートコンサルタントとして入会する条件は1年以上WEB業界での実績がありSEOに関して一定の成果をあげている方になります。

代表の鈴木将司が面接をさせていただき、上記の規定を満たしていることがわかりましたら加盟金100万円(分割可)と従業員3名以下の企業様の場合月75,000円を顧問料としてお支払いいただきます。
……と書かれている。「第二期以降は審査を厳しくしてハードルを越えなくてはならなくなります」というのがどことはなしに情報商材っぽく、ある意味おもしろい。

で、この鈴木将司なる人物はSEO の世界でどのような実績をあげているのだろうか。筆者が知る範囲のものをいくつか思い出してみよう。
  1. MarkeZine への寄稿「ヤフーの検索結果順位の極端な変動はなぜ起きるのか?」で “ヤフーのキーワード検索結果の激動の原因の1つがこの「ヤフーのサーバー上で(エリア検索、Yahoo!ショッピングなどの)CGIプログラムを多用したため、多大な負荷が生じている可能性がある」と推測できます” と書き散らして炎上
    (*現在は修正済み。コメント欄を参照のこと)
  2. ダイヤモンド・オンラインの「ヤフーの順位が「クリック要素」で変動する!?」では “Yahoo!の検索結果に表示されるOverture社のスポンサー広告を購入すると検索順位が若干上がり、広告をやめると順位が下がる” など根拠のない事象をもとに「Yahoo!JAPANも、日本語版のYahoo!ツールバーを使って、ユーザーが閲覧したページを追跡調査している可能性が高い」と結論
いやはや立派なご仁だこと。全日本SEO協会に対抗して、SEO の「と学会」でも結成したいくらいのものだ。

2008/06/17

Re: 電通調査の件

だいぶコメントするのが遅れたけど、この話。電通が2008年2月に実施した「クロスメディア行動調査」(リンク先はPDF )に関するsmashmedia 河野氏のエントリーから。まず電通の調査自体は、企業にオンラインでのマーケティングへもう少し意識を向けてもらう上で「使いやすい」調査結果だろうと個人的には思うが、「最近1カ月間に広告を見て、その内容に関してキーワード検索をした」人の比率に関する以下のコメントには同意。
1ヶ月以内っていうスパンの取り方が正しいのか微妙だけど、それはさておき、ぼくはケータイでしか検索しない人(この調査だと1.2%)がもっといると思う。これもパネルがPCユーザーだから現れてるバイアスじゃなかろうか。




それではこちらの調査はどうだろう。Jストリームが2007年12月に発表した「ネットユーザー利用動向調査」。マルチデバイスによるインターネットアクセスの拡大を見据えて、PC ユーザー/ケータイユーザーの双方を対象に実施したものだという。

この中に上掲の「広告によるキーワード検索」に関する設問と近いものがある。「テレビ視聴がきっかけで、詳細を知るのに使うネット端末はどちら?」というもので、ただし回答は「PC」「携帯」「PC や携帯ネットで詳細を調べない」の3択となっている。



こう見ると、ずいぶん違う結果だという印象を受けるのではないか。選択肢が違うものの聞きたいことはほぼ同じはずなのだが、パネルの組み方もあってずいぶん違ったものになっている。PC での検索だけでなく、モバイルへの取り組みも忘れずに、と伝える際に側面から援護してくれるような資料ではある。

#個人的には、(テレビではなく)交通広告などで検索を喚起している場合がこれに近いような感触ではないかと。

*ただしこの調査、有効回答数2,866のうち「携帯のみ+主に携帯でアクセスするユーザー」が1,696、「PC のみ+主にPC でアクセスするユーザー」が1,170ということのようなので、モバイル側の利用が強く出るきらいはあるだろう。これが日本のインターネットユーザーの端末利用動向に即しているか、というとそれはそれで微妙かも。詳しくは元のリリースを参照のうえ各自でご判断を。

2008/06/05

インターネット検索能力検定とは何だ

インターネット検索能力検定」というものがあるそうな。「日本インターネット検索能力検定協会」なる特定非営利活動法人(NPO)が実施する検定試験に合格すると取得できるのだそうで。級の認定は「初級、1級、2級、プロフェショナルの4段階」。

インターネット検索能力検定

インターネット検索がそれだけ普及した、ということを間接的に証明するものではあるだろうが、検索する能力まで検定してもらう時代なのか、とある意味で新鮮な驚きもある。裏で推進した人間たちの「ビジネスになるかも」という目のつけどころは面白いし、最低限の体裁は整えているようなので、生温く見守る事としたい。

ちなみに上掲画像のメニュー部分、中項目の2番目が「検定試験の種類と体形」となっていることに象徴的だが、サイト内につっこみどころがものすごく多い。「取得後の効果」のページなど、読みながらニコニコしてしまうほど。たとえば取得後の効果として、
  • 自己能力の認識
  • 仕事効率の向上
  • 就職に役立つ
などが挙げられており、そのために学ぶべき技術として

・マイナス記号で指定
・キャッシュのクリック
・OR検索
・アンカテキスト検索
・ドメイン検索
・ページランク機能
・とは検索
・キーワードのわざ
・マイナス検索
・完全一致検索
・ワイルドカード検索
・翻訳
・ブログサーチ
・I‘mFeelingLucky検索 等
(以上、リスト表示に適切なタグを使用しない点も含めて原文ママ)

などが列記されている。レイヤーの違うものを無理矢理つめこんだ印象がぬぐえない上、OR は全角で表記されており、「I'm Feeling Lucky 」に至っては全角半角が混在する始末。「Lucky」ってアンタ……そもそも「I'm Feeling Lucky 」って検索ユーザーが覚えるべき「技術」なのだろうか。

その下に記載された「特殊構文」にも誤字が複数含まれているので、おヒマな方はどうぞ(検索エンジンによって異なる部分が考慮されているように見えず、それはそれで突っ込みどころだが)。このページの間違いをすべて指摘できれば「インターネット検索能力検定」の初級くらいは合格できることだろう。

#……筆者? 受験して落ちでもしたらたいへんなことなのでパス。 (w