#ヘンにぼやかさず当該企業の方にご認識いただいたほうがよかろう、という意図から。
一読して困惑、のニュース。「プレスリリースのSEO効果に注目!アイレップ、2つのリリース配信サービスの販売を開始」。一部引用すると、
プレスリリースの配信サービスには2つの効果がある。1つは、インターネット上の複数のニュースサイトへリリースを一括配信することによって、多くのネットユーザーやブロガー、メディアに情報を伝え、そこからさらに情報の伝播を派生させる点。もう1つは、情報がニュースサイトやブログなどに掲載されたときに、自社サイトへのリンクが設置される点。これが検索順位に大きな影響を与える外部リンクの強化にもつながる。読んで真っ先に浮かんだ疑問は「アイレップのSEM 総研所長である渡辺隆広氏は、このリリースにGo を出したのだろうか?」というもの。次には「News2u の関係各位はこの件のリスクを理解しているのだろうか?」という心配が。順に説明する。
この点に注目したアイレップは、SEO対策の一環としても活用できるとして、今回この2つリリース配信サービスの取扱いを開始すると同時に、SEOサービスの充実によってクライアントの満足度の向上を目指すとしている。
外部リンクの獲得はあくまで副次効果
配信先におけるリンクの扱い(設置方法)等をすべて確認したわけではないが、News2u に代表されるリリース配信サービスにより、自社サイトへのリンクが設置され、外部リンクの強化につながる、というのは事実だろう。ただしその点をサービスの価値として運営者自身や代理店が訴求してしまうと、昨今話題の「外部リンクの販売」というところにつながってしまう(参考:SEM リサーチ「Google、「テキストリンク広告」の通報システムを準備」)。あくまで副次的効果として営業マンのセールストーク等に含めるのは可能だろうが、「2つの効果のうちのひとつ」として謳うのはまずいだろう。
渡辺隆広氏は上掲の「SEM リサーチ」運営等を通じて古くから日本の検索エンジンマーケティングに貢献してきた人物でもあり、業界動向にもっとも精通したひとりであると認識している。昨今の外部リンク操作に関する検索エンジン側の対処を鑑みるに、対価を払ってのリンク設置うんぬんを訴求することのリスク、それも自らの勤務先というよりはその提携先であるサービス運営者をリスクにさらすことについて、彼が理解していないとは思えないのだが……
(SEM リサーチが更新中にもかかわらず本件リリースを取り上げていないことからも、彼の意思が感じられるような気はする)
本来の「PR 2.0」浸透に全力を
News2u 社も、代理店が出すリリースということで事前確認の依頼があったと推測されるのだが、上記リスクを理解のうえで承認したのだろうか。2001年7月開始というから6年以上にわたってサービスを提供しており、掲載先サイトも拡大し、企業にもそれなりに利用されるようになってきたという状況だと思う。今回のように同社が目指すサービスのあり方と異なるところにフォーカスがあたることで、これまで積み上げてきたものが損なわれるおそれがある、というリスクは理解しておくべきだろう。
ついでにいえば、News2u 社からのリリース配信を受けて掲載しているパートナーサイトも、利用企業へのリンクを提供する、ということを目的に提携したわけではないだろう。サービス運営者、ないし関係企業がそういったことを言い出してしまうと、「話が違う!」ということになりはしないか、と老婆心ながら付記する次第。
(参考までに、2006年3月に一部サイトがSEO スパムと判断されてGoogle のインデックスから削除されたCA 社は、上場企業でもあり、当時からアドワーズ広告の販売代理店として日本で1、2を争う売上があった。信頼や営業上のつながりがある企業だからといって判断に手心は加えない、という検索エンジンとしてGoogle の姿勢が示されたものだと思われ、どういった立場であれ油断は禁物、ということも認識したほうがよいかと)
同社の提唱する「PR 2.0」という考え方については、すべてを理解/首肯できるわけではないが興味を持って展開を注視している。今回のような1.0 的なリンク獲得方法を売りにするのではなく、理想の実現に注力していただければ、と期待している。
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