2013/12/12

リトルミィbot → 赤猫リブ・リビィは石黒謙吾氏の仕込み

先のエントリー「リトルミイはそんなこと言ってない(あるいは、赤猫リブ・リビィなる人物の挙動について)」において、筆者は以下のように書いた。
とりあえず扶桑社の書籍編集部と石黒謙吾氏は事前に本件を把握できなかったのだろうか。
なにぶん不勉強なもので、本件のからみで調べるまで石黒謙吾という人物については知らなかったというのが正直なところ。今は後悔している(悔いーる)。で、先のエントリーを書いた後、石黒氏のTwitter アカウント(@ishiguro_kengo)に反応を見に行ったところ、12月10日時点で以下のツイートがRT されていた。




おや? その関係性は編集者の立場として世に広めてかまわないものと考えているのだろうか、という疑問が浮かぶ。で、Twilog で過去のやり取りが見つからないかと探してみて、掘り当てたのが以下の3ツイート。

石黒氏から@little_my へのツイート





このうち1番目と3番目については削除されたのか、ツイートの埋め込みができないため、以下に3つともテキストで張り付けておく。日付は2013年3月23日。メールアドレスのみ一部文字列を削除。
@little_my はじめまして。書籍をプロデュース&編集している、石黒謙吾と申します。あまりに素晴らしいツイート見ていまして、非公式botと知りつつ、書籍化へのご相談をさせていたけないかと思いまして。リトルミィの版権できついのはよくわかってはいますが、策はありまして(続)
posted at 02:49:38

@little_my ぜひ一度ご相談できないかと思いまして。よろしければ、以下アドレスまでひとことで結構ですのでご連絡頂ければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。
posted at 02:51:27

@little_my アドレスです。(略)@blueorange.co.jp 今までやった仕事はこんな感じです。http://www.blueorange.co.jp/blog/books
posted at 02:56:47
リトルミィの版権できついのはよくわかってはいますが、策はありまして」……なーるーほーどー(棒 どうやら石黒謙吾氏からのアプローチがあって、偽リトルミイが赤猫リブ・リビィに化けたということらしい。

書籍の紹介記事からあらためて引用するが、
この本をプロデュースした著述家で編集者の石黒謙吾氏は、やはりTwitterを通して「赤猫リブ・リビィ」の存在を知り、
これは事実に即しているだろうか。また、同じ記事に、
この本は、ツイッターで10万人以上のフォロワーを集める「赤猫リブ・リビィ」のつぶやきを書籍化したもの
とあるとおり、Twitter でのフォロワー数がこの書籍におけるひとつの売りになっている。しかしそのフォロワーは、トーベ・ヤンソンの原作に存在しない言葉をリトルミイの名言と偽り、アイコンや背景画像までリトルミイの姿形を無断借用することで信じ込ませて獲得したものであることを考えると、相当にあざとい印象を受ける。違法行為があったかというとそこまでではないので、あくまでモラルの問題だろうけれど。

せっかくなので最後に、ひとつ「名言」を引用させてもらおう。




それがあなた達の道であるならば、こちらからこれ以上いうことはない。さようなら。

*12月13日0時26分追記:
「さようなら」とまで書いて追記するのはいかがなものかと思うがご寛恕を。書籍の版元である扶桑社の書籍紹介ページ魚拓)に「ツイッターで大反響を呼び、3か月でフォロワー10万人超!」とあった。これは明白な虚偽であり、優良誤認表示に相当するのではないだろうか。

リトルミイはそんなこと言ってない(あるいは、赤猫リブ・リビィなる人物の挙動について)

数日前から、ムーミンの登場人物であるリトルミイ(ちびのミイ、とも)の名言とうたったNAVER まとめが話題となっている。筆者の友人・知人にも感銘を受けた方が多数いるようだ。

【リトルミイ】胸にグサッと、突き刺さる【名言集】

結論からいうと、これらの「名言」は第三者による創作(?)であり、リトルミイはそんなことは言ってない。そして、この創作を行った人物に奇妙なふるまいが観測されたため、あわせて以下に記述する。

筆者が本件を気にかけるようになったきっかけは、こちらのはてなブックマークコメント
これはtwitterでリトルミィbotやってた人の創作。リトルミィbotの名義で人を集めて、途中から「赤猫リブリビィ」に名義変更して本を出版してる。
ざっと洗ってみた限り、このコメントが指摘する内容は妥当だと思われた。時系列でまとめ直すと以下のようになる。
ポイントとしてはまず、今回のNAVER まとめ中に出典が記載されておらず、また「赤猫リブ・リビィ」へアカウント名を変更する以前に作成されたものであったこと。これにより、当該のNAVER まとめだけを見て実際のリトルミイの名言集であると誤解する人が出るのはやむを得ない部分もある。

#まとめ作成者の0896 氏は今回のアクセス集中でウハウハだろうが、出典を記載しない、など不適切な行為が見受けられ(画像の出元もあやしい)、これが結果として誤った情報を拡散させる原因のひとつとなっている。本件についてNAVER まとめの運営がどのように対応するかは見ものであろう。

またTwitter アカウントの仕組み上、Username を変更してもフォロワーは引き継げる。このため変更後しばらく経つと、どういったふれこみでアカウントを運営していたかは見えなくなってしまう。ただし今回はさすがに無理があったようで、ネット上にその痕跡が残っている。いくつか紹介しよう。










 
今一番楽しみにしていると言っても過言ではないアカウントが、
「with 赤猫 リブ・リビィ」

私がフォローしたときは「Little ME」だったんだけれど、時々名前が変わるんだな・・・。
アイコンも「ムーミンのミィ」でした、確か・・・。
twitterでフォロー|ココロノコンパス

で、2013年9月にはこれらの「言葉」をまとめた書籍が「赤猫リブ・リビィ」名義で出版された、とのこと。紹介記事(毒舌なのに励まされる「赤猫リブ・リビィ」の格言が話題に - ITmedia eBook USER)から一部引用すると、
この本をプロデュースした著述家で編集者の石黒謙吾氏は、やはりTwitterを通して「赤猫リブ・リビィ」の存在を知り、「素晴らしい言葉ばかりだったので、本として残すべきだと思った」と言います
正体が明かされていない「赤猫リブ・リビィ」ですが、石黒さんによると「一般人で、クリエイティブとか言葉を使う仕事とは無縁の人。しかし、自分の人生の中で熟成された言葉を発信していて、読む人にはそれが分かる。だからこそ心に響くんだと思います」
……なのだそうで。「誰が」ではなく「何を」言っているかだけを評価するならばそれでよいと思うが、「どのように」を加味した時に、それが適切かどうかは違った判断になりそうな気がする。とりあえず扶桑社の書籍編集部と石黒謙吾氏は事前に本件を把握できなかったのだろうか。

さて、本エントリーを書き上げた時点での「赤猫リブ・リビィ」の最新ツイートは以下のとおり。なんとも趣き深いように思うのは筆者だけだろうか。ゆっくり休んで、戻ってきたら以前の行為についてぜひご説明いただければと。


*22時37分追記)本エントリーの続編はこちら:
リトルミィbot → 赤猫リブ・リビィは石黒謙吾氏の仕込み