2010/05/30

日本の検索サービス利用動向(2010年4月)

日本の主要14検索サービスについて、ネットレイティングスが検索者数、クエリ数(検索数)、検索結果ページビュー数、検索セッション数などを発表している(2010年4月、家庭と職場のPCからのアクセス)。これは"インターネットユーザーの検索行動に焦点を当てた検索サービス利用動向レポート"「MegaView Search(メガビューサーチ)」の提供開始にあたり、その内容紹介を兼ねて発表したもの。

MegaView Search による2010年4月の検索サービス利用動向

発表された数字をもとに軽く触ってみるといろいろ興味深い内容が浮かび上がってくるが、その前に注意しておきたいのは、以前に「Yahoo! JAPAN とGoogle、実際の検索シェア」で紹介した2008年10月の数字とは、対象検索サービスおよび調査パネルが異なるという点だ。検索サービスは9から14へ増えており(独自開発ものではNaver が入った)、パネルについては名前のとおり、NetView ではなくMegaView を使用している模様(*)。特に調査パネルが異なるため、前回の数字との連続性はないと考えるほうが安全だ。

*23時40分追記: 「MegaView Search はNetView と同じパネルを使用している」との指摘が入ったため訂正を行った。「NetViewはコンテンツ単位にURLを束ねて集計しているが、MVSは検索クエリ単位にURLを束ねて集計している」とのこと。@nisitomo に感謝。

検索数(検索クエリー)のシェア

まずはベタにいわゆる「検索のシェア」から。前回発表されたのは「検索結果ページのページビュー数」のみであったが、今回は「検索クエリ数」も発表されており、こちらが検索の使われ方を示す数字としてはより適切かと思われる。検索クエリーの総数に占める各検索ブランドのシェアは以下のとおり。

検索クエリーのシェア

Yahoo! が53.2%、Google が37.3%、MSN/Bing が2.6%。以下、goo、biglobe、infoseek、nifty とつづく。ちなみに検索結果ページのページビュー数におけるシェアを見るとYahoo! が57.0%、Google が34.2%となるが、これは「1検索クエリにつき閲覧される検索結果ページ数が異なる」ため。以下に「検索結果ページビュー数/クエリ数」を示す。

検索結果ページビュー数/クエリ数

この数字の解釈はさまざまに可能で、すぐに思いつくものとしては「少ないほど検索エンジンとしての精度が高い(1ページ目にユーザーが満足できる結果を返せている)」「ユーザーが検索結果画面に求めるものが各ブランドごとに異なっている」など。後者の例としては、例えばBaidu が1クエリーあたり4ページ近く閲覧されているが、Baidu の精度が低いというより、何ページも見たいと思うような検索のされ方をしていると考えたほうが妥当だと思われる。つまり画像/動画検索がよく利用されているのではないかと(間違っていたら申し訳ない)。

#Baiduのローンチ当初はアダルトフィルタがデフォルトOFF で、巷で「漢(おとこ)の検索エンジン」と呼ばれたことを思い出す。


ユーザー1人あたりの検索数

もうひとつ興味深いのがこちら、「クエリ数/検索利用者数」の比較。ひとりの検索ユーザーが月に何回ほど検索するか、というものだ。

検索ユーザーひとりあたりのクエリー数

この切り口で見ると、Yahoo! とGoogle では検索利用者ひとりあたり月間56クエリー前後となっており、2強の様相を呈している。この数字の少ない検索エンジンは「ライトユーザーに支持されている」もしくは「メインの検索エンジンとしては利用されていない」のいずれかだと思われる。


その他

「MegaView Search(メガビューサーチ)」はウェブ検索のほか、イメージ検索、ショッピング検索、ニュース検索、ローカル検索の検索タイプ別レポートを提供する、とのこと。ネットレイティングスのリリース内、図表2においては「Yahoo! Search」の内訳が公表されている(ウェブ検索がYahoo! Search 全体の85%)。

いまの検索エンジンが向かう方向性としては、(Google やBing に代表されるように)ひとつの検索窓から入力された検索クエリーの意図に添った結果を、検索タイプを問わずひとつの検索結果画面として出力する、いわゆるBlended Search が当面の主流となっている。その意味で、検索タイプ別のレポートが検索利用の実態に合わなくなる日は遠くないのかもしれない。